『第2回東京インディペンデント映画祭』授賞式開催 グランプリは秋葉恋監督の『東京逃避行』

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5月21日(火) に『第2回東京インディペンデント映画祭』授賞式が開催された。

「次世代の映画監督を育成する」をモットーに、 新たなムーブメントを呼び起こす「夢のある映画祭」 として、昨年誕生した東京インディペンデント映画祭。昨年2023年12月1日より作品募集が開始され、3カ月間で292作品の応募が集まり、その中からグランプリ、準グランプリが決定した。

審査員⻑である藤井道人(監督)、阿部雅人(松竹・プロデューサー)、 小出真佐樹(ロボット・プロデューサー) 、SYO(ライター)、古川達馬(編集技師) 、菅井ひなの(映画祭キュレーター)が登壇。まず、受賞作品発表に先立ち、受賞は逃したが最終ノミネートに選出された3作品が発表され、プレゼンターとして藤井、綾野剛が祝福した。

続いて、準グランプリの発表。『ゴミ屑と花』大黑友也監督と『スマホの中のエイリアン』川中玄貴監督が登壇し、綾野剛が目録を渡した。大黑は「今回こういった賞を頂けて本当に光栄に思います。この作品を通していろんな人と出会って縁を感じる経験ができました」と喜びを噛み締めた様子。川中は「私は映画大好き少年で始めた人ですが、長いことPVや広告周りをしていて、実写っぽい映像というのは20年ぶりに作らせていただいたのですが、その機会にこのような結果になりありがたい気持ちでいっぱいです」とコメントした。

『ゴミ屑と花』
『スマホの中のエイリアン』

グランプリを受賞したのは『東京逃避行』の秋葉恋監督。綾野剛より目録を受け取ると、「僕は18歳の時に高校生映画甲子園で藤井監督から最優秀監督賞をいただいて、そこからいろんな現場を通して制作をしてきましたが、やはりもう一回藤井さんに映画祭で会うということは大きな目標としてずっとありました。これからも藤井道人監督の元で、自分が若いからこそ出せる個性だったり問題だったりと向き合いながら作品を作っていくので、これからもよろしくお願いします」とコメント。

『東京逃避行』ビジュアル

最後に審査員による総評が行われた。古川は「今回の6作品を観させていただきましたが、今回ここにいる審査員の中で本当に票が割れていました。みなさんそれぞれの個性をとにかくこのまま磨いていっていれば必ずどこかで、自然と成果が出てくると思います。そして、その中で僕がスタッフとして携われたら非常に嬉しいと思います」、菅井は「全292作品の中から選ばれた皆様、本当におめでとうございます。全て楽しく拝見させていただきました。監督をはじめ映画に関わった皆様の熱い想いを非常に強く感じましたし、どの作品も違ったアプローチで素晴らしかったので審査の際も非常に難航しました。この度は本当におめでとうございました」。

オフィシャルライターのSYOは「最初出来上がったものに対して自分がどう思うかの基準で作品を選んでいましたが、他の審査員の方たちと話し合った時に“この監督と一緒に仕事をしたいかどうか”とおっしゃている方が多かった。日本の映画業界がさまざまな意味で変わっていかないといけないといわれている中でそういう視点で選ばれた方々であるので、今日お越しいただいた皆様に、この映画祭が日本の映画に関わろうとしている人たちの想いだと思って“楽しくね?”と思ってくれると嬉しいと思います」、阿部雅人(松竹・プロデューサー)は「視覚や聴覚、さらには何か匂い立つようなものであったりと、そういった五感を刺激されながら、枠組みに関係なく面白い作品を作ろうという思いが全ての作品から感じられました」、小出は「6作品どの作品も上映時間に関わらず⻑編に勝るとも劣らない作品の情報量とそこから荒立ってくるようなみなさんの演出の力を感じ、どの作品がグランプリになってもおかしくないと感じました」

特別審査員の綾野剛は「共に考え、共に学び、共に走ることができるとも思っています。この先もどう未来を切り拓いていけるかを一緒に考えていきたいと思っていますので、そういったところも含めこの映画祭が豊かになっていきますように心より願いを込めて。今日はありがとうございました」とコメント。

審査員⻑の藤井道人は「6作品本当に票が割れたんですよね。昨年に比べ今回は2時間きっちり、何度も観て審査員の中でみんなが作品の好きなポイントをたくさんディスカッションをしました。そして、準グランプリに選ばれた2作品は、審査員の中でもすごくポイントが高くて、いますぐに獲りに行けるレベルだなと、僕たちが何もしなくても成功するだろうというような作品でした。

グランプリを受賞した秋葉さんに関しては、高校生の頃から知っていて、ノミネート作品の中に彼の作品があったときに、やだなと思ったんです。やっぱり同じ目線で見れないし、彼には厳しい目線で育てたい、育ってほしいと思っていたので。ただやっぱり映像を見たときに、「彼は持っているな」と思いました。6作品の中では映像のクオリティーは良くないし、無茶苦茶なことをやっているし。ただ、彼をフックアップできる映画祭でいないと僕たちはカッコ悪い大人になってしまうかもしれないという気持ちになりました。荒削りのものを閉じ込めたらプロになれるのではなくて、そこを伸ばすからみんなに見てもらえる映画監督になれるんじゃないかと信じたい。そういう意味で、僕たちはサポートするという立場にふさわしいのは『東京逃避行』なんじゃないかという思いで、決めさせていただきました。僕らも審査するという立場の上でとても勉強になりました」と総評し、授賞式は幕を閉じた。

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