マリッジサポーター地域の世話焼き 一緒に喜び、悲しむ

身上書を見ながらお見合いの相手を探すマリッジサポーター=日立市内

「この人にこの方はどうだろう」「いいんじゃない」

机に並んだ写真付きの身上書を手に取り、年配の男女が話し合う。毎月第1土曜日に開かれているいばらきマリッジサポーター県北地域活動協議会の定例会。メンバーは独身者やその親から預かった身上書を持ち寄り、お見合い相手を探す。

マリッジサポーターは、地域で出会いの仲介や世話をするボランティア。県知事から委嘱され、682人が活動する(8月末現在)。サポーターが連携を取ることで独身者をつなぐ。地区ごとに五つの協議会が組織され、お見合いだけでなく、触れ合いパーティーを企画するなど、地域の世話焼きとして一肌脱ぐ。7年間で112組の結婚をまとめた。

身上書には、氏名や住所などの本人の基本情報のほか、相手に望むものとして、年齢▽最終学歴▽婿養子▽結婚歴▽喫煙の有無▽身長、体重-といった項目が並ぶ。サポーターはそれらを見ながら、お似合いの相手を探すのだ。
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10年以上活動する鈴木一枝さん(79)は「身上書をよく見て、好むような人を探す。経験から、この人にはこの人が合うんじゃないかと分かってくる」と話す。両者が会うことに同意すれば、お見合いの場を設定。「最初は食事を兼ねてサポーターと4人で会う。いつも時間は午前11時、値段が高価でない店を選ぶ」と鈴木さん。2人の緊張が解けるように気を配る。食事の後は2人に任せ、うまくいくことを願うばかりだ。

食事中の癖などで気になることがあれば、あとで直すようにそっと声を掛ける。「ちょっとしたことが相手は気になるし、なかなか周りからは注意されないので」。お見合いから成婚に結び付ける一方で、預かる身上書は「5箱ぐらい。数えきれない」。活動する際の心構えについて「一緒に喜び、悲しむこと。自分のことと同じように動く」と力を込める。
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「月1組ペースで成婚しているが、お見合いはその5倍はやっている」と話すのは、同協議会顧問の國井誠さん(83)。マッチングせず、頭を悩ませることもある。「女性の方が高望みかも。人柄は付き合ってみないと分からない。今は女性に選ばれる時代。選ばれず自信をなくす男性を見ると、もったいないなぁと思う」とつぶやく。

昨年は4組まとめたという龍ケ崎市の青山しげ子さん(69)は「自分を客観的に見ることができる人が婚活に打ち勝つ」と話す。「譲れない条件が一つあってもいいけど、あれもこれもは難しい」。親からの相談も多く、時に「凝り固まった親の頭をほぐすことから始める」。

「30歳を過ぎたら時間はない。お見合いをしてお付き合いする中で、結婚に向かって付き合うか、次に行くか、3カ月以内に結論を出すように勧めている」と青山さん。「入り口はどうだっていい。お見合いで出会ってから恋愛するのもいい。出会いの機会を有効に利用し、出会って知っていくことが大事では」と独身者の背中を押す。

結婚へと導いたカップルとは、その後も連絡を取り合っている。子どもが生まれ、元気な声を聞くことも。「やっぱりそういう時は、うれしいし、やりがいだよね」。青山さんから笑顔がこぼれた。
(平野有紀)

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