寺社、遠い自力再建 指定文化財以外補助なく

熊本城の石垣が崩れ倒壊した熊本大神宮の社務所(手前)=4日午後、熊本市中央区(横井誠)
「足手荒神さん」として親しまれている甲斐神社も拝殿、神殿が全壊した=4月26日、嘉島町(谷川剛)

 4月の地震で熊本県内の1200以上の寺院や神社で建物や関連施設が被害を受けたことが4日、分かった。住宅が被災した人は一定要件を満たせば支援金を受け取れるが、寺院や神社は政教分離の原則もあり、文化財指定や登録を受けた施設以外は補助金を受けられない。関係者からは「再建が見通せない」との声が上がっている。

 全日本仏教会(東京)や県神社庁(熊本市)が被災状況を取りまとめた。寺院は県内の1015寺の6割に当たる613寺が被災。本堂の全半壊は19寺、一部損壊は308寺に上り、墓石が倒れた寺も多くあった。確認作業を継続中で、被害数は増える見込み。

 神社は1341社のうち少なくとも半数近くの652社が被災。本殿などの建物被害は全半壊130社、一部損壊186社。鳥居や灯籠、こま犬が壊れた神社もあった。

 県によると、国や県の文化財指定や登録を受けた寺院や神社は阿蘇市の阿蘇神社など36施設あり、修復費の一部に補助金が出る。しかし、それ以外の施設は「政教分離の原則があり、基本的に自力再建してもらうしかない」(県文化課の担当者)という。

 300年以上の歴史がある益城町の寿徳寺[じゅとくじ]は、本堂が4月16日の本震で全壊。住職の河辺裕司さん(37)が地元の建築業者に見積もりを取ったところ、建て直しに少なくとも7千万円以上かかることが分かった。

 文化財に指定されていないといい、河辺さんは「檀家[だんか]の方々も被災し、寄付金を集めるのは難しい。再建の見通しは立たない」と嘆く。

 福島県三春町の住職で東日本大震災後、政府の復興構想会議委員を務めた作家玄侑宗久[げんゆうそうきゅう]さん(60)は「寺院での祭りや法要は、避難で離散した親戚同士が再会する機会になった。早い再建は、地域の復興を後押しする」とし「神社仏閣を地域のコミュニティー施設と捉え、行政は補助するべきだ」と訴える。

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