仮設住宅、車いす使えず 障害者男性が入居断念

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 熊本地震発生からやがて3カ月。応急仮設住宅の整備が進んでいるが、室内の段差や入り口の狭さが原因で、車いす利用者が入居を断念したケースがあったことが分かった。高齢者の家族からも「転倒が心配」との声も上がっており、専門家は「完全なバリアフリーの仮設住宅を建てるべきだ」と指摘する。

 益城町の作本誠一さん(49)は頸椎[けいつい]損傷のため下半身が不自由で、車いすを利用している。自宅は地震で全壊。現在はNPOが提供する熊本市の避難施設に身を寄せる。

 「早く益城に戻りたい」と仮設住宅への入居を希望して当選。6月下旬に部屋を見学すると、入り口まではスロープがあったが、室内はバリアフリーではなかった。

 トイレの入り口が狭く、幅57センチの車いすが入らない。風呂場までには11センチと18センチの段差が2段。脱衣所や洗い場も狭く、介助者が入れないなどの問題があった。別の団地の部屋も見学したが、結果は同じだった。

 作本さんは入居を断念。「障害者や高齢者を優先すると言われていたのに、使えなくては何もならない」と落胆する。

 被災した障害者の支援に取り組む「被災地障害者センターくまもと」事務局長の東俊裕・熊本学園大教授は「障害者が公的支援からこぼれ落ちている。室内も完全にバリアフリーの仮設住宅を用意するべきだ」と話す。

 高い段差のある部屋は、高齢者にも住みにくい。医師や理学療法士でつくるリハビリテーションの全国支援チーム「JRAT」は、仮設住宅の高齢者や障害者を訪問し、手すりの設置や付け替えなどの相談に応じている。

 89歳の義母と一緒に同町の仮設住宅で暮らす女性(51)は「トイレの前に高さ15センチの段差があって、義母がつまずかないか心配。手すりもないので足を踏み込みにくいようだ」と訴えた。

 避難所生活では運動量が減って筋力が落ち、高齢者は転倒のリスクが高まるという。JRATは「特に夜間は慣れない間取りで転びやすくなる。段差に蛍光テープを張るなどして十分注意してほしい」と呼び掛ける。

 応急仮設住宅は災害救助法に基づき整備。県によると6日時点では、16市町村で84団地の3551戸を着工。33団地1264戸が工事を完了している。

 団地内の1割程度は入り口までスロープを設置する計画。しかし配管などの関係上、鉄骨プレハブ住宅の室内で段差を解消するのは難しく、一部で建設されている木造住宅も完全なバリアフリーではないという。県健康福祉政策課は「車いすの人が使えるように仮設住宅を改修するか、新しく建設するかを検討している」と話している。(清島理紗)

トピック平成28年熊本地震

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