「くまモン」で元気に 漫画で避難所に笑顔

くまモン漫画をスクラップしている秋吉美宏さん(写真右)と、動物の写真を切り抜いている美寿さん姉妹=熊本市中央区出水

 くまモン漫画が元気をくれた-。熊本市中央区出水の小学3年生、秋吉美宏[みひろ]さん・美寿[みすず]さんの双子姉妹が、熊本地震で忘れていた笑顔を取り戻せたのは、熊本日日新聞朝刊に連載中の4こま漫画「くまモン」のスクラップ帳がきっかけだった。余震が相次いだ避難生活。姉妹が大切に集めた漫画を囲む子どもたちの間に、笑顔の輪が広がった。

 美宏さんと美寿さんがスクラップを始めたのは昨年春。仕事関連の記事を日ごろから切り抜いていた公務員の父宏二さん(57)の影響で、「絵がかわいいし、話が面白くて大好き」(美宏さん)というくまモン漫画を、ほぼ毎日スクラップしてきた。宏二さんが切り取って美宏さんがノートに貼る。美寿さんはかわいい動物たちの写真を集めていた。

 「もし地震がきても、この漫画を持っていたら友達と読んで笑っていられるよね」。日ごろから家族にこう話していた美宏さん。210枚目の漫画を貼った4月14日の夜、本当に大地震(前震)が熊本を襲った。

 マンション8階の自宅は大きく揺れ、寝室で母の幸美さん(44)と横になっていた姉妹は跳び起きた。たんすや棚が倒れ、室内は食器などが散乱。災害対応で職場へと飛び出した宏二さんと分かれ、母娘3人は近くの小学校体育館に避難。その時、美宏さんが「くまモン漫画を探して。避難所に持っていきたい」と幸美さんに頼み込んだという。

 「早く避難したかったが、美宏の思いを大事にした」。幸美さんは急いで部屋に戻り、探し出したスクラップ帳を美宏さんが大切に抱えて出た。

 避難した体育館で本震に遭った3人。余震の度にきしむ建物が怖くなり、校庭に止めた車で寝泊まりすることに。前震から1週間たって心身ともに疲れ果てたころ、美宏さんが開いたスクラップ帳に避難所の子どもたちの輪ができた。

 「何読んでるの」

 「あ、くまモンだ」

 「面白いよね」

 それまでの緊張がほぐれ、子どもたちは笑顔を少しずつ取り戻した。「お友達も大人も一緒に笑えてよかった」と美宏さん。幸美さんも「本当にほっとした」と振り返った。

 避難から10日後には自宅に戻ることができた秋吉さん家族。再開したくまモン漫画の切り抜きは300枚を超えた。美寿さんの動物写真とくまモン漫画のスクラップ帳を、代わる代わる開く姉妹。「これからも切り抜きを続ける。みんなと見るのが楽しいから」と、にっこり笑った。(松本敦)

©株式会社熊本日日新聞社

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