液状化対応、道筋見えず 熊本市が現地調査

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地盤の液状化で、家屋や看板が傾いている日吉小前の通り。電柱も陥没したり、傾いたりしている=16日、熊本市南区

 熊本地震による地盤の液状化問題で、熊本市は被害実態を把握するため現地調査を始めた。液状化の被害が確認された地域では、傾いた自宅で今なお、不自由な生活を余儀なくされている住民も少なくない。復旧事業には多額の費用がかかることから、再建への道のりはまだ見えない。

 「平衡感覚が狂い、頭がおかしくなりそうだ」。同市南区南高江の田中和弥さん(58)方は本震後、敷地南側の地盤が沈下し、木造2階建ての家屋が大きく傾いた。一家は地震直後から避難所生活を続けてきたが、避難所の閉鎖に伴い、5月に自宅に戻った。

 居間や台所は天井と床が傾き、崩落の恐れから立ち入らないようにしているという。「今の自宅では安心して暮らせない」と田中さん。近く転居予定で、しばらく市内の親戚宅に身を寄せる。

 同区近見地区の被害も深刻。電柱は陥没。道路は波打ち、歩道と建物の間には大きな段差も見られる。傾いた商店は軒並みシャッターを下ろし、「またどこかの街で」との張り紙も。近くの主婦(42)は「地震後で街の空気が変わった。ゴーストタウンにはなってほしくない」と街の将来に気をもむ。

 熊本市は6月から同区の日吉、川尻校区一帯約2100世帯で現地調査を始めた。被害報告が上がっている東区秋津地区なども対象に加え、8月末まで被害状況を確認する。西区などほかの地区の情報も集めている。国の補助事業の対象となるかを判断するのが狙いだ。

 再発防止のため、国は道路や下水道などのインフラと隣接する宅地の地盤を一体的に改良した場合、補助金を出す。9都県、80市区町村に被害が出た東日本大震災を受け、2013年度に新設された制度だ。

 対象区域が3千平方メートル以上で、区域内の住民の3分の2以上の同意などが条件。「面的整備をするなら現実問題として、ほぼ全世帯の同意が必要」と市開発景観課。しかし、同意を得るのは容易ではない。ネックとなりそうなのが、住民の費用負担の問題。

 この国の補助制度はインフラ部分の工事が対象で、宅地部分の費用は被災者自身の負担となる。工法によっては数百万円かかることもあり、同市は被災者の負担を軽減する独自の支援策を検討している。東日本大震災の被災地では住民の同意が得られ、着工にこぎ着けたのは6市にとどまっている。

 液状化によって転出者が出ている日吉と力合校区の自治会や商業者らは6月下旬、「南区液状化復興対策協議会」を設立した。住民で情報を共有し、行政に再建策を求めていく。荒牧康会長は「街を守るため、将来を見据えた復旧を地域で考えていく必要がある」と話す。(馬場正広、高橋俊啓)

トピック平成28年熊本地震

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