南阿蘇鉄道、31日に部分再開

トロッコ列車も

©株式会社熊本日日新聞社

31日の部分運転再開に向け、整備が進む南阿蘇鉄道の観光トロッコ列車「ゆうすげ号」=19日、高森町の高森駅

 熊本地震で被災し、全線運休が続いている第三セクター「南阿蘇鉄道」(本社・高森町)は19日、全区間(高森-立野、17・7キロ)のうち高森-中松間(7・11キロ)の部分運転を31日に再開すると発表した。全線運休から約3カ月ぶり。名物の観光トロッコ列車も復興のシンボルとして“復活”する。沿線の地域住民からは、待ちに待った運転再開に喜びと期待の声が上がった。

 同鉄道は4月14日の前震を受け、15日はレールや踏切などの調査で運休。16日未明の本震で長陽-立野間で鉄橋がゆがみ、土砂の流入で線路が曲がるなどの被害を確認したため、同日朝の始発から全線運休に追い込まれた。

 しかし、車両は無事で、高森-中松間は被害が少なかったことから、同社は部分運転の再開を視野に軌道の微調整などを進めてきた。大雨の危険性も減ったため国土交通省に再開を報告した。

 8月31日までの1カ月間は毎日、午前9時半の高森駅始発から午後4時25分の同駅終着までの4往復を運行。うち3本は観光トロッコ列車「ゆうすげ号」を走らせる。その後は乗客の需要に合わせ、便数などを調整していく。

 高森駅で会見した同社社長の草村大成・高森町長は「公共交通機関として住民の生活を支え、観光の目玉のトロッコ列車を復興のシンボルにしたい」。国直轄で2億円かけて復旧調査を実施することも決まっており、「部分運転再開は全線復旧に向けての後押しにもなる」と語った。

 線路沿いに住む南阿蘇村両併のパート、岡本律代さん(57)は「車輪や踏切の音は生活の一部だったので、運休は寂しかった。お年寄りや子どもたちの足が復活すれば、地域が明るくなる」と久しぶりの明るいニュースに笑顔を浮かべた。

 白川水源駅でカフェを開く伊藤幸蔵さん(40)も「車窓から手を振るお客さんを思うだけでわくわくする。沈んでいた村に活気が戻るきっかけになってほしい」と期待する。

 立野から大津町のホンダ熊本製作所に避難している、避難所運営委員会代表の丸野健雄さん(72)は「立野地区の住民にとって、通学で利用するなど思い出の詰まった路線。中松までとはいえ開通はうれしい限り。復興へ大きな励みになる」と喜びをかみしめた。

 31日は高森駅で高森町主催の「復興祭」が開かれ、マルシェや音楽ライブがある。トロッコ列車は団体で予約できる。ただ、残る中松ー立野間の復旧の見通しは立っていない。同鉄道TEL0967(62)0058。(堀江利雅、横山千尋)