「強固な殺意」認定 シッターの男に懲役26年

 ベビーシッターとして預かった複数の乳幼児にわいせつな行為に及んだ上、横浜市磯子区の男児=当時(2)=を窒息死させるなどしたとして、殺人や強制わいせつなどの罪に問われた男(28)の裁判員裁判で、横浜地裁は20日、懲役26年(求刑無期懲役)の判決を言い渡した。片山隆夫裁判長は「シッターの立場を悪用し、親の信頼を裏切った。極めて悪質だ」と指摘した。

 弁護側は男児の死亡を風呂で溺れたことによる「事故」とし、懲役7年が相当と訴えており、殺人罪の成立が主な争点だった。

 片山裁判長は判決理由で、男児の遺体の状況から「鼻と口を少なくとも3〜5分にわたり手でふさぎ続けた強固な殺意に基づく犯行」と認定。その上で、「2歳の幼さで将来を奪われたことは痛ましいというほかない。わいせつ目的で男児らを誘拐し、最終的に殺害に至ったのは、非常に強い非難に値する」と述べた。被告が起訴内容の大半を否認したことも、「真摯(しんし)に事実と向き合っておらず、反省の情は乏しい」と指弾した。

 一方で、「殺人には計画性がなく、最も重い部類に属するとはいえない」と指摘。検察側が求刑した無期懲役は「重すぎると言わざるを得ない」と判断した。

 判決によると、被告は2012年11月〜14年3月、預かった20人近い乳幼児の裸を撮影したり、わいせつな行為に及んだりしたほか、同月に男児を窒息死させ、生後9カ月の弟にも重度の低血糖症の傷害を負わせるなどした。

 弁護人は判決後、「重要な部分の主張が否定された。控訴するかは本人がよく考えて決めること」と話した。

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