万田坑・三角西港 地震で観光客減、PRに汗

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ボランティアガイドの案内で万田坑の施設を見て回る団体客たち=17日、荒尾市
ツアーで三角西港を訪れ、ガイドの説明に耳を傾ける観光客=6月14日、宇城市

 荒尾市の万田坑と宇城市の三角西港が「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録され、8日で1年を迎えた。登録後は両施設とも観光客の増加に沸いたが、熊本地震以降は減少。地元の観光関係者らは巻き返しに力を入れる。

 3連休中日の17日、万田坑には県外から2組の団体客が来場。長崎県南島原市の花岡レイ子さん(74)は「世界遺産を見てみたかった。日本の近代化を支えた炭鉱の歴史がよく分かった」と満足そうだった。

■大幅増

 万田坑の来場者は、世界遺産登録を国際記念物遺跡会議(イコモス)が勧告した昨年5月に8452人と前月の4倍強に急増。8月には1万1千人を超えるなど増え続け、2015年度は前年度比の3倍近い約8万7千人に達した。

 “世界遺産効果”は三角西港にも波及。行楽シーズンの昨年11月、観光ガイドの利用者は過去最高の3516人で、前年の7倍。15年度は前年度比3・7倍の約1万8千人だった。近隣の観光地を巡るツアー客も目立ち、宇城市観光物産協会は「大型バスで訪れる団体客も増えた」と言う。

 両市は、来場者の受け入れ態勢も強化した。荒尾市は大型バス20台分の駐車場を整備。15人で場内を無料案内していたボランティアを、新たに10人育成した。物産販売と休憩所を兼ねたプレハブを新設。公衆無線LANの無料サービスや、英語、中国語、韓国語による音声案内システムも導入し、外国人観光客への“おもてなし”を充実させた。三角西港でもガイドを7人から18人に増やし、臨時駐車場を確保した。

■起爆剤

 ただ、熊本地震で両施設とも大きな被害は免れたものの、来場者は激減した。万田坑は、地震以降3カ月間で団体予約の113件4354人分が中止。7月は前年の3割程度。「登録2年目は少し減ると覚悟していたが、ここまでは想定外」。市観光協会は落胆する。

 三角西港も5月のガイド利用者数が前年の3割(180人)に落ち込むなど、団体客を中心に減っている。

 夏休みを控え、両市の観光関係者は福岡や大分、宮崎など県外に出向き、観光地のPRに努める。宇城市のJR三角駅前では23日に恒例の「みすみ港祭り」もあり、「西港にも足を運んでもらう機会にしたい」と市の担当者。9月には小型無人機ドローンを使った撮影大会を計画しており、客足回復の起爆剤にしたい考えだ。

 荒尾市は、全小学校に万田坑などを紹介するパンフレットを配ったほか、24日には有識者を招いて記念講演会を開く。同市世界遺産推進室は「多くの市民に万田坑の価値を再認識してもらい、一緒に守り、活用していきたい。世界遺産登録の盛り上がりを一過性で終わらせてはいけない」と先を見据える。(原大祐、田中祥三)