「平松礼二館」が10月で10周年 湯河原町

 日本画家・平松礼二さん(74)の作品を常設する「平松礼二館」が、湯河原町宮上の町立湯河原美術館内に設けられて10月で10周年となる。客足減の傾向に歯止めをかけようと設けられた一室に固定ファンもついた。現在は記念企画として「10周年プロローグ〜寄贈作品セレクト展」が開かれている。同美術館は「継続して魅力を伝えていきたい」と話している。

 平松さんは鎌倉市在住。2000年から10年末まで月刊誌「文芸春秋」の表紙絵を担当したことで知られる。同美術館によると、色彩豊かな作風で風景画や花鳥図などを描き、湯河原の町並みも題材にしている。

 02年に同美術館が平松さんの作品を特集したことがきっかけで、06年の館内リニューアル時に県内ゆかりの作家であることなどから、一室を平松さんの特集スペースとした。

 同美術館で1人の作家を紹介する部屋を設けるのは初めて。作品が重ならないよう、毎年100点程度を一度に借り受けるなどして、年に複数回、題材をかえて展示を行ってきた。それまで減少傾向だった来館者数が、リニューアル後の07年度には05年度比で約1300人増の約2万3千人と増加に転じるなど、客足回復の一助にもなった。

 現在、開かれている企画展では昨年末に平松さんから贈られた作品を中心に約40点を紹介。古都の花火を題材にした同美術館初公開の作品や、町内の幕山公園を描いた作品などが並ぶ。静岡県焼津市から訪れていた自営業者(59)と妻(53)は「色使いが豊か。インパクトがある」と見入っていた。同美術館は「町の誘客などにつながる形で平松礼二館を発展させていきたい」と話している。

 企画展は10月4日まで。午前9時〜午後4時半。水曜休館。大人600円など。問い合わせは、同美術館電話0465(63)7788。

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