地獄温泉もう一度 南阿蘇村の河津さん3兄弟奮闘

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熊本地震発生後もこんこんと湧き出る「すずめの湯」を見つめる河津誠社長=南阿蘇村
玉名市でのコンサート会場で、みそを販売する河津進さん(右)ら=同市

 熊本地震で被害を受けた、熊本県南阿蘇村河陽の老舗温泉旅館「地獄温泉 清風荘」の河津誠社長(54)ら3兄弟が、営業再開と村の観光復興に向けて活動している。「南阿蘇村は元気だというメッセージを全国に発信し、最終的には旅館の再開を目指す」と意気込む。

 地獄温泉は200年以上の歴史があり、村の観光を長年支えてきた。長男の誠さんと、副社長の次男・謙二さん(53)、専務の三男・進さん(51)で切り盛りしている。4月16日の本震で、旅館につながる村道が土砂崩れでふさがり、一時孤立したほか、施設の壁にひびが入るなど大きな被害を受けた。

 旅館の命であるお湯は湧き続けたものの、6月下旬の大雨で旅館裏の夜峰山で土砂崩れ。大量の土砂が流れ込み、施設の建て替えが必要になった。誠さんら家族11人は村内に避難し、旅館の家具や土砂を運び出す作業を進めている。

 旅館再開の見通しが立たない中、誠さんが考え付いたのが「村が一丸になって、この危機を乗り越える」こと。みなみあそ村観光協会代表理事を務める謙二さんを代表に、村内の観光事業者を集め、国・県に対して地震で被災した中小企業の施設復旧費を補助する「グループ補助金」の申請を進めている。

 7月2日に玉名市民会館であったコンサート会場では、旅館独自のみそを販売。観客に向け、進さんは「南阿蘇村はまだまだ元気です」と呼び掛けた。

 旅館に五つある湯の中で、唯一被害を受けなかったにごり湯「すずめの湯」。誠さんは「観光客が戻ってきたら、すずめの湯に漬かってもらうのが今の夢。いろんな困難はあるが、前のめりになって取り組む」と話す。(木村馨一)