【世界から】女性が住みやすいドイツの街は?

職場環境がポイント

画像ドレスデン旧市街を一望できるエルベ川沿いは夏の夜の特等席(C)Sven Doering/DML BY画像エネルギッシュでいつも笑顔のドレスデン観光局長ブンガさん(C)Dresden Marketing GmbH/Foto:Sven Doering画像各家庭に必ずあるドイツ基本法の冊子。「男女同権」は3条2項に規定

 最近、ドイツを代表する週刊誌フォーカスが「ドイツで女性が一番住みやすい街はドレスデン」だと伝えた(5月28日号)。この調査は、2010年から15年まで不定期的に実施し、全国77の街を対象に「キャリアチャンス、所得、女性が被害者となった犯罪率、余暇充実度」などの実態をまとめたもの。なかでも「職場における男女平等」に重点を置いたという。東西ドイツの経済や生活の格差がいまだ比較され、西側が常に優位と思いきや、ドイツ生活が20年以上に及ぶ筆者も意外に感じる調査結果だった。

 ▽ふたつの顔

 ドレスデンはドイツの東の端に位置し、チェコ共和国との国境がすぐ近くだ。人口50万人以上を抱えるザクセン州の州都で、芸術とバロック建築の宝庫として知られる。

 近頃は、欧州のイスラム化に反対する愛国主義者(ペギーダ)による反難民デモが大々的に報道されて、ネガティブな印象を持つ人も多いかもしれない。

 それとは対照的に、女性が最も住みやすいと評価されたこの街のポジティブな側面はどんな点だろう。

 ▽懐の深さ

 「確かに、デモの影響で観光客数が一時的に減少したのは事実。しかし、ドレスデンの懐の深さや素晴らしさを日々感じている」と語るのは、この街を代表するキャリアウーマンの1人、同市観光局の局長ベティナ・ブンガさんだ。

 「今までずっと旧西独の大企業で働いていた。6年前からこの街に住むようになって気が付いた点は、管理職の女性をすんなり受け入れてくれる土壌が整っていること。女性の高い就業率は、旧東独時代に男女とも仕事に就くのが当たり前だったから。東西統一から26年たった今も、この慣習は根付いていると思う」と同局長(フォーカス誌)。

 ▽女性が多方面で活躍

 管理職のキャリアウーマンは、ドレスデンでは珍しくない。警察報道官や、今年女性初の館長が就任した国際アートコレクション美術館など、有能な女性が多方面で活躍している。

 仕事に就きやすく、キャリアチャンスが大きいことは、勤労者総数の半分を女性が占め、男女の賃金格差が少ない(男性100に対し女性は92。全国平均は女性88)というデータが証明している。ドレスデンがトップになったのは、保育所の充実、女性専用駐車場の完備など、ライフワークバランスが最もとれた街だったからだ。

 ちなみにランキングには、観光局長ブンガさんの言葉を裏付けるように「イエナ、ライプツィヒ、ケムニック、ベルリン」と、ほかの東側の街がトップ10に選出された。

 ▽男女同権を推進

 ドレスデン男女平等委員会代表スタニスラフ・ケメナー女史は「職場環境が充実していると満足する女性の声を聞くのはうれしい限り。しかし、この街の女性管理職はまだまだ少ない」と、さらなる活動意欲をアピールする。

 男女平等委員会は、ドイツの憲法に当たる基本法に定められた「男女同権」に基づいて全国に設置されており、州別または自治体独自のさまざまな取り組みを行っている。

 ドイツ人は、仕事とプライベートのオン・オフを区別し、生活を満喫するのがうまい。これには、男女とも企業に合わせる働き方をするのではなく、個人に合わせる働き方のできる職場環境がポイントとなる。さて、日本はどうだろう。(ドイツ在住ジャーナリスト、シュピッツナーゲル典子=共同通信特約)

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