県内書店、閉店相次ぐ 地震と販売不振“二重苦”

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休業中の金龍堂まるぶん店のシャッターに張られたファンからの激励メッセージに足を止める通行人=26日、熊本市中央区

 熊本地震は販売不振に苦しむ県内の書店に大きな打撃を与えた。県書店商業組合(長崎晴作理事長)などによると、地震後に閉店・廃業したか、その予定の書店は少なくとも4店に上る。組合員やチェーン店以外にも、廃業や休業をしている書店があるとみられ、全体像は計り知れない。

 県内で書籍を扱う小売業者(コンビニを除く)は約150店とみられる。うち同組合には53店が加盟。長崎理事長(56)は「ほぼ全ての会員が何らかの被害を受けた」と話す。

 金龍堂東バイパス店(熊本市東区)は建物の被害が甚大で5月8日に閉店。Book&Cafe一心堂(同中央区)はいったん営業を再開したものの、損傷した建物への不安が大きく、6月いっぱいで店を閉じた。

 店主の高齢化などで以前から廃業を検討していた書店で、地震が決定打になった店も。金書堂(同東区)は7月上旬に廃業、店舗が大規模半壊したコス・ナカガワ(宇城市)も7月末で廃業する。同店の小川正子さん(70)は「83年間、いい時代もあったが、今は本屋では食べていけず、後継者もいない」と話す。

 いまだに休業が続く書店も5店ある。金龍堂まるぶん店(熊本市中央区)は建物の損傷が大きく、閉じられたシャッターには、各地から訪れたファンが激励のメッセージを張っている。荒川俊介店長(48)は「10月か11月にリニューアルオープンする。15万冊を仕入れ直し、新規開店同様の作業になる」と気を引き締める。

 大手チェーン店(組合未加盟含む)では、入居するショッピングモールの被災による長期休業が目立つ。くまざわ書店くまなん店(同中央区、サンリブくまなん内)は9月上旬に再開予定。明林堂書店サンピアン店(同東区)は11月、紀伊国屋書店熊本はません店(同南区、ゆめタウンはません内)は12月末の再開を目指す。ニューコ・ワン(同東区)はイオンモール熊本(嘉島町)の蔦屋書店嘉島が20日に再開し、休業中はTSUTAYA・AVクラブ田崎店(熊本市西区)のみとなった。

 常連客の協力で本震6日後に再開した橙[だいだい]書店(同中央区)は10月までに新市街から練兵町へ移転する。店主の田尻久子さん(46)は「現貸店舗の修復費を自己負担するのは経営的に厳しかった。地震を機に人知れず姿を消す小さな本屋もあるのでは」と心を痛める。

 長崎理事長は「大手書籍取り次ぎ2社が被災書店への支払い猶予の支援策を実施している。一息つけるが、県内の書店をめぐる環境は依然厳しい」と話している。(山口純)