阿蘇市の原野山肌に「日の丸扇」 復興の心意気 

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例年通り、北外輪山の原野に浮かび上がった日の丸模様の扇(中央上)。麓の集落では飼い牛が草をはんでいた=阿蘇市

 熊本県阿蘇市狩尾地区の住民有志が7日、北外輪山の原野を刈り取り、日の丸模様をした伝統の巨大な扇を浮かび上がらせた。熊本地震で原野が傷み、有志は中止も検討したが、「復興への心意気を示そう」と実施。扇は旧尾ケ石東部小付近などから見える。

 扇が登場したのは狩尾牧野の通称「扇平[おうぎびら]」(標高750メートル)の斜面。地元で「扇切り」と呼ばれ、はっきりとした由来は不明だが、田畑や牛馬の安全祈願で明治時代に始まったとされる。狩尾3区(87戸)の有志でつくる保存会(鎌倉昭幸会長)が例年、お盆の前に続けている。

 扇ができる一帯は45~60度の急斜面で、地震やその後の豪雨で西側が幅約100メートルにわたり崩落。同地区の役員は危険を考えて中止を提案したが、保存会は「地元の農地も大きく傷ついたので、豊作祈願にしたい」と実施を決めたという。

 この日は鎌倉会長(61)ら16人が、早朝から安全に気を付けながら2時間ほど作業。幅が約70メートル、縦が約50メートルの扇と、直径約20メートルほどの日の丸模様に草を刈った。

 地震のため、水田1・1ヘクタールの約3割にしか作付けできなかったという鎌倉会長は「支援に来てくれた大勢のボランティアへのお礼として、地区が元気になりつつあることも発信したかった」と言葉に力を込めた。(岡本幸浩)

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