「不便なダイヤ」「長い通学時間」「運休時」代替バスに疲労感

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宮地駅前に停車したJR豊肥線の代替バスから下車する学生ら=阿蘇市

 熊本地震によるJR豊肥線の不通に伴い、JR九州が宮地(阿蘇市)-肥後大津(大津町)間で運行する代替通学バスについて、便数の少なさや日・祝日の運休など、使い勝手の悪さを指摘する声が利用者から上がっている。豊肥線の復旧が見通せない中、利用学生や送迎を担う保護者には疲労感がにじみ、来春の高校受験にも影を落としている。

 JR九州は5月から県の補助を受けて、通学バスを平日に限り1日上下計19便、夏休みの8月1日~20日は同7便を運行している。主なルートは地震で寸断された国道57号の迂回[うかい]路である県道の北外輪山大津線(通称ミルクロード)と菊池赤水線。大津方面への上りが約150人、下りは約70人が利用する。

 バスは50人乗り。補助席を使って満席になることも珍しくない。地震前に1日片道15便だった普通列車よりも大幅に減便しているため全員が乗れず、次の便まで1時間以上待つこともあるという。

 阿蘇市から大津町の大津高に通う2年生の松本朋加さんは「バスの座席は狭く、満席の時はぎゅうぎゅう詰め。通学に時間もかかるし、疲れるので演劇部を休部しました」と戸惑いを隠さない。

 さらに、運行ダイヤは迂回路の渋滞を見込んで組んであり、宮地行きのバスが赤水駅で時間調整のため30分程度停車する場合がある。これも利用しづらさに拍車をかけているようだ。

 このため赤水駅や肥後大津駅まで迎えに行ったり、日祝日に部活動などの送迎に車を出したりする阿蘇市の保護者は少なくない。長男が大津高3年の藤田幸代さん(49)は「親も子もくたくた。時間は取られるし、子どもの受験も心配」と打ち明ける。

 バス通学を諦めて市外に転居するケースもある。大津町の翔陽高に通う長女と同町内でアパート暮らしを始めた40代の母親は「娘の負担を考え、私が阿蘇市の会社へ約1時間かけて通勤している」。

 こうした状況を改善してもらおうと、阿蘇市外の高校などに通う保護者らは6月、阿蘇通学連絡協議会(谷崎利浩会長)を組織。県教委を通じて、JR九州にバスの利便性向上を訴えている。

 JR側は近く2学期の運行体制を発表する予定で、「県教委と協議して、意見を最大限くみ取りたい」。しかし、保護者たちは「JRから通学手段を確保する確約がない。将来が見通せず、不安が募る」と口をそろえる。

 問題は、来春の受験にも影響を及ぼし始めている。次男が中学3年の中嶋蘭さん(40)=阿蘇市=は「子どもには、市外の高校に通学するなら覚悟が必要と話している」と説明。「地元の阿蘇中央高だと経済的に助かるが、子どもの選択肢は狭められる。進路決定が近づき、悩ましい」と胸の内を明かす。

 公共交通機関の不通や運休の長期化は、地域の将来をも左右しかねない。別の保護者(45)はため息交じりで話す。「来年以降も数年は続く問題。地域の過疎化に拍車が掛かりはしないか心配だ」(岡本幸浩)

トピック平成28年熊本地震

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