性的少数者を支援 手術同意 同性パートナーも可

 横須賀市が市立病院で性的少数者を支援する取り組みを進めている。昨年末に改定した市立病院の指針に、意識不明などで判断能力のない患者の手術同意書の署名者として、同性パートナーも認めることを盛り込んだ。夫婦や親族と同じように同性パートナーを扱うことが明文化されるのは県内でも珍しいという。

  対象は市立市民病院(同市長坂)と市立うわまち病院(同市上町)の2施設。手術同意書の署名には「3年ほど一緒に過ごし、周囲からパートナーとして認められていること」が条件となる。関係性は患者の家族に電話などで確認を取る。

 市立病院での取り組みは市条例の規定に基づくのではなく、病院独自の試みとして始めた。東京都渋谷区が昨年、同性カップルを結婚に相当する「パートナーシップ」と認める証明書を交付するなど、性的少数者を支援する社会的な動きを受けて実施することにした。

 市救急医療センター、市消防局救急隊でも救急搬送された患者に対して、来院した同性パートナーから依頼があれば、関係者であることを確認した上で、病状の説明などの情報提供をする。

 実際に活用された事例はないが、病院は「同性カップルで一緒に外来に来る患者もいる。核家族化や個人主義が進み、近くに親族がいない場合、これから必要になっていく」と強調。「異性、同性に関係なく、患者の生活の質を良くして、幸せにするのが私たちの願い」と話している。

 性的少数者を支援する市立病院での取り組みは、市のホームページに掲載されている。

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