坂本龍馬の免許皆伝書 横須賀で複製公開へ

 幕末の志士、坂本龍馬(1835〜67年)が伝授された「北辰一刀流」の免許皆伝書の複製が10月1日から、大津コミュニティセンター(横須賀市大津町)で公開される。龍馬の武術の腕前を裏付ける貴重な史料で、実物を所蔵する高知県のテーマパーク関係者は「入手からまだ日が浅く、博物館以外で公開する機会はほとんどない」と話している。展示は同8日まで。

 晩年を横須賀で過ごし、信楽寺(同)に眠る龍馬の妻おりょうの没後110年に合わせた「おりょうの生涯展」の特別展示品として、市民団体「横須賀Cアカデミー」(杉本幸三代表)が披露する。

 なぎなたの皆伝書「北辰一刀流長刀兵法目録」は長さ約2メートル70センチの巻物。流派の開祖・千葉周作の弟で、龍馬が修行した江戸の桶町千葉道場の道場主、定吉から授けられたとされ、1858(安政5)年1月の日付もある。

 巻物の見返し部分には「北辰」の象徴という北斗七星の図像が描かれ、「水玉」「黒龍」などの技名も明記。周作のほか、龍馬の婚約者とされた定吉の娘・さなの名前も記され、おりょうの“恋敵”が龍馬の腕前を保証する興味深い資料としても知られる。

 目録の行方は長年分からなくなっていたが、昨夏にテーマパーク「アクトランド」(高知県香南市)の北村精男館長が入手。京都国立博物館に鑑定を依頼したところ、他の剣術目録と共通性があることなどから、龍馬が定吉から受けた免状と判明した。

 今回の複製展示は、杉本代表が千葉家の子孫や千葉道場などに協力を要請し実現した。杉本代表は「龍馬あってのおりょう、ということで企画したが、こちらの熱意を関係者が受け止めてくれた。日本の剣道の基本でもある千葉道場の精神を多くの人に知ってほしい」と話している。

 午前10時〜午後4時で入場無料。10月1、2の両日には道場の看板を展示するほか、同2日に道場宗家の特別演武も披露される。問い合わせは、主催の大津観光協会電話046(836)3531。

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