名物パスタ食べて応援 イタリア地震受け横浜で募金活動

 イタリア中部地震で大きな被害が出たアマトリーチェ村が発祥の名物パスタを通じて、被災者を支援する募金活動が横浜・元町エリアで広がっている。首都ローマ出身の女性が日本人の夫と営むイタリア料理店「ラ・タッパフィッサ」(中区元町4丁目)が始めたもので、現在では計10店舗が参加。「震災、戦災と2度の荒廃から発展を遂げた元町から、再建に取り組む村にエールを送りたい」と協力を呼び掛けている。

 イタリア中部で8月24日に起きた地震では、中世の趣を残す石造りの家々が倒壊し、同村だけで200人以上の犠牲者が出た。同村は、豚のほお肉の塩漬け、トマトソース、ペコリーノ・ロマーノ(羊乳チーズ)を使った伝統パスタ料理「アマトリチャーナ」の発祥の地として知られている。

 オーナー兼シェフのワタルイズモさん(24)と、パオラ・マッゼオさん(31)の夫妻が営む同店では地震直後に、世界的に始まったばかりのアマトリチャーナによる支援を始めた。通常は1600円を1700円にし、1皿当たり客から100円、店から200円の計300円をイタリア大使館を通じてイタリア赤十字に寄付することにした。

 来日6年半で村の近くに親戚が暮らすパオラさんは「とても美しい村がひどい被害を受けるとは思わなかった。将来の再建に少しでも助けになれば」との思いで募金を始めたという。

 同店はイタリアから輸入した食材を使う本格派で、アマトリチャーナは人気メニューの一つ。注文だけでなく、おつりなどを寄付する客も増えた。ワタルさんによると、福島から来店したという男性が、東日本大震災でイタリアから受けた支援の恩返しにと、感謝を口にしながら味わったこともあったという。

 キャンペーン「アマトリチャーナを食べてイタリアに愛を届けよう」には、同店を含め元町エリアの10店舗が参加。「横浜元町 霧笛楼」の運営会社、鈴音の代表取締役でもある鈴木信晴さん(68)が事務局を担う。「関東大震災や戦災を乗り越えてきた元町で、若い人たちが自発的に動いてくれた。私たちの思いを被災地に届けたい」と意気込んでいる。

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