コージェネ導入へルール策定 MM21地区

 地域で一括した冷暖房システムを原則としていた横浜・みなとみらい21(MM21)地区は、建物ごとのコージェネレーションシステム導入の受け入れへと方針転換し、新たなルールを策定した。災害対策や、環境への負担軽減といった時代の変化に即したものだ。

 エンジンなどで電力と熱を供給するコージェネは、燃料ガスなどで稼働できれば停電時でも安定供給ができ、自立分散型エネルギー設備として期待が高まっている。

 これまで同地区では街づくり基本協定で、1986年設立の株式会社、みなとみらい二十一熱供給が供給する地域冷暖房を原則、全量利用することが規定されていた。供給開始当初の89年は地区内に建物がほとんどなかったために利用はほぼゼロだったが、2015年現在で供給延べ床面積は316万平方メートルに及ぶ。

 同地区をマネジメントする一般社団法人横浜みなとみらい21は「東日本大震災以降、エネルギーシステムの自立化・分散化の要請が各方面から高まっている」という。

 14年11月、基本協定運営委員会は「コージェネは防災面だけではなく、地区全体の電力ピークカットや二酸化炭素の排出削減効果も見られる」とし、導入を認める方針を決定した。市も昨年3月に策定した「みなとみらい2050プロジェクトアクションプラン」で、コージェネなどの設置促進を明記。今年5月にこの方針を盛り込み、基本協定が改定された。

 一方で、新たなコージェネ設置については事前協議や基本協定運営委員会の承認が必要となる。みなとみらい二十一熱供給は「コージェネの導入により、地域冷暖房システムの既存利用者の利益を損ないかねない」と懸念。そのため、協議ではコージェネの運転時間なども調整する。

 来年1月、同地区の46街区に完成予定の横浜野村ビル(地上17階建て)はガスによるコージェネを採用、協定改定後初めての導入となった。事業主体の野村不動産は「最近ではテナントにBCP(事業継続計画)やより良い環境性能を求められている」という。発電効率の高いコージェネの普及も企業が導入する要因とみられる。

 横浜みなとみらい21は「コージェネなどの活用を都市防災、環境対策の観点から前向きに捉え、より企業から選ばれる街にしていきたい」と話している。

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