差別ツイート削除 「ヘイトを憂慮」ツイッター社長

 インターネット上の差別書き込みで人権を侵害されているとして、川崎市川崎区の在日コリアン3世崔(チェ)江以子(カンイヂャ)さん(43)が横浜地方法務局に救済を申し立てた問題で、崔さんの長男に対する差別ツイート4件が11日、削除された。いずれも同法務局が「人格権を侵害する違法行為」と認定し、プロバイダーの米ツイッター社に削除を要請していた。同社が応じたものとみられる。

 ツイッター社日本法人の笹本裕社長は神奈川新聞の取材に、「個別の案件には答えられないが、ヘイトスピーチ解消法の成立を受け、法務局などが違反と判断したものに関して対応を行っている。ヘイトスピーチは個人的にも憂慮しており、さらに対応を強化すべく体制と仕組みづくりに取り組む」とコメント。「傷つく方の心を考えると日本での利用が改善されることに社として努力し続ける必要がある。米国にもそのように要請している」とした。

 短文投稿サイト「ツイッター」に投稿されたツイートは、崔さんの長男で中学2年生の中根寧生(ネオ)さん(14)を名指しし、「文句があるなら国へ帰れよ(糞(くそ)チョン野郎)」などと差別語を交えて攻撃していた。寧生さんは、川崎区桜本の在日コリアンを標的に行われたヘイトデモの抗議活動に加わり、崔さんとともにネット上で誹謗(ひぼう)中傷を受けるようになっていた。

 崔さんは「被害回復のため国が削除要請し、プロバイダーが応じたことはネットでのヘイトスピーチに触れ、沈黙を強いられている人たちにとって希望になる。拡散し、残り続けるネットでの差別は生きていくのがしんどくなるほど被害が深刻。軽い気持ちで書き込んでいる人は反省し、これ以上繰り返さないでほしい」と話す。

 同法務局は崔さんへの差別ツイート12件についても削除要請しており、代理人の師岡康子弁護士は「解消法ができ、被害者が2次被害を覚悟して申し立てを行い、法務局が動き、世論も動いたことがツイッター社を動かしたのだろう。残る差別ツイート削除はもちろん、被害者の申し立てを待たずに、自社基準に従いヘイトスピーチを積極的に削除してほしい」と話している。

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