ラグビー文化、地域に定着を 小田原、相次ぎイベント

 ラグビー日本代表チームの合宿地の一つに選ばれた小田原市で、関係者らが地域にラグビー文化を定着させるための取り組みを進めている。小田原城址公園(同市城内)など集客力のある場所で、相次いでイベントを開催。競技者以外の市民や観光客にも魅力を伝え、ファンの裾野を広げたい考えだ。3年後のワールドカップ(W杯)、4年後の東京五輪に向け、ラグビー人気のさらなる向上を目指している。

 「右にパス!」「行けー、トライ」。秋晴れとなった13日午後。城址公園二の丸広場に、選手たちの大きな声がこだました。

 広場で開かれたのは、タックルの代わりに腰に付けたタグを取って相手の前進を止める「タグラグビー」のリーグ戦。横浜や茅ケ崎、小田原などから計8チーム、約70人が参加。小学生の部と、中学生以上の大人の部に分かれ、砂利の上に敷いた人工芝のフィールド(縦20メートル、横18メートル)上で、熱戦を繰り広げた。巧みなステップやランで相手の手をかいくぐり、トライを決める選手たちの姿に、観光客らも足を止めて見入った。

 リーグ戦は、湘南ベルマーレラグビーチームと、小田原市や地元企業・団体でつくる「ラグビー準備委員会」が共催し、市ラグビーフットボール協会が協力した。

 城址公園内でラグビーイベントが開かれるのは、今回が初めてではない。準備委は9月、タックルの代わりにボールを持っている選手に片手でタッチする「ストリートラグビー」の体験イベントも、銅(あかがね)門広場で開いている。

 ラグビーは競技場やラグビー場に足を運ばなければ、なかなか観戦する機会がないスポーツ。2019年にはW杯が国内で初開催され、翌20年の東京五輪では7人制が実施されるが、野球やサッカーなどに比べると、人気は劣る。

 競技者やファンの裾野を広げるため、「競技場にわざわざ行かなくてもラグビーに親しんでもらえるよう、規模の大きくないイベントを、人が多く集まる場所を選んで企画した」と、リーグ戦主催者。今回のタグラグビーは、会場の都合で実際より狭いフィールドで実施した。

 リーグ戦を前に、協会長でもある準備委の会長はこうあいさつした。「19年や20年に向け、今後もいろいろな企画を仕掛けていきたい」

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