【世界から】共同口座、持つ?持たない?

豪「自分の金」派が増加

ジョイントアカウントのメリットは、家賃や光熱費、保険料など日常生活における「二人のお金」の支出管理が簡単で、ガラス張りの明朗会計になること
ウエストパック銀行の支店にあるネットバンキングコーナー。ジョイントアカウントは単独名義と同じサービスを利用でき、使い勝手は変わらない
オーストラリアのネット銀行ME(http://www.mebank.com.au)の日常生活用の口座開設申し込み画面。最初の選択は、単独名義(It’s just for me)か共同名義(It’s a joint account)か

 日本と異なり、オーストラリアでは「ジョイントアカウント」と呼ばれる共同名義の銀行口座を持つことができる。家族や友人との連名も可能だが、一般的には同居や結婚をきっかけにパートナーと、というケースが多いよう。夫婦に限らず、事実婚や同性カップルを含め、信頼し合ったカップルがジョイントアカウントを持っているのはごく普通のことと受け止められている。…と思っていたのだが、最近は、別々の口座でお金を管理することを好むカップルが増えているらしい。

 ▽世代による違い

 今年10月、オーストラリアのネット銀行MEが2000人を対象に実施した調査の結果を発表した。

 パートナーがいる回答者のうち、日常生活用のジョイントアカウントがあると答えたのは49%。39%はオンライン貯蓄口座を、48%はクレジットカードを共同名義で持っている。

 興味深いのは世代間ギャップ。ベビーブーマー世代(1946年~64年生まれ=52~70歳)のカップルの60%が日常生活用のジョイントアカウントを持っているのに対し、Y世代(1980年~96年生まれ=20~36歳)になると、33%とぐっと少なくなる。中間のX世代(1965年~79年生まれ=37~51歳)は48%だった。

 25年連続でプラス成長を維持しているこの国で、不景気を知らずに大人になったY世代の別名は「ミー(私)世代」。自分第一主義で、長期的関係を構築することに及び腰…と言われている。「これから共に生きていく」という覚悟なしに、これまで自由に使えた「自分のお金」を「二人のお金」とすることは、きっと難しい。

 以前と比較してジョイントアカウントを持つカップルが減少傾向にある背景には、女性の社会進出による経済的自立があり、晩婚化や離婚率の増加も少なからず影響を与えているという見方がある。

 ▽国税局の見解

 「稼いだお金は誰のもの?」というのは、実に悩ましい問題だが、オーストラリア国税局(ATO)は、ジョイントアカウント名義人に「同等の利益がある」とする見解だ。利息に関しては、原則的に折半した金額をそれぞれの収入として申告すればよい。

 それの意味するところは、各自が金銭的または非金銭的に寄与した結果として二人のお金、と合意したわけだから権利も義務も半々ね、というある意味合理的な扱いではないかと思う。お金の出所や使途、それらの比率にこだわるのなら、合算しないで個々の口座で管理すれば事足りるのだから。

 ▽扱いは十人十色

 周囲を観察してみると、「二人のお金」の扱いは十人十色で、微妙な距離感や役割意識が垣間見える。生まれ育った環境や金銭感覚の異なる二人がハッピーにやっていくのに正解などなく、双方が公平だと感じられる方法やバランスを模索し、歩み寄るほかない。

 ジョイントアカウント派にもいろいろあって、日常生活用の口座だけでなく、貯蓄や投資用の口座、住宅ローン等も連名で持ち、全ての収支を分かち合うカップルがいる一方で、各自の収入から同じ割合、あるいは同じ金額を「二人のお金」として共同名義口座に入れ、それ以外は別々の口座で管理するカップルもいる。

 ネットバンキングでは、口座にニックネームを付けられる銀行が大半だ。例えば「Dream Holiday」(夢の休暇)、「Start a Business Fund」(起業資金)といった具合に。

 これは筆者も実感していることだが、日常生活用の口座とは別に貯蓄用の口座を作り、具体的な名前を付けると、ゴールや進捗度が分かりやすくなり、モチベーションも上がる。二人の将来の楽しみやライフプランを実現するため、となると、優先順位をつけてお金を使うようになるものらしい。

 ▽持たない理由

 パートナーを信頼していても、あえて共同名義口座を持たない、という選択はある。けれども、全面的に信頼していない相手と共同名義の口座を持つことは難しい。持たない理由は、「必要ない」と「経済的に自立していたい」が主流だが、「相手の浪費癖」を心配する声も少なくない。

 もし、日本でジョイントアカウントが持てることになったら、あなたはパートナーと連名で口座を開きたいですか?(シドニー在住ジャーナリスト、南田登喜子=共同通信特約)

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