iPS網膜細胞、光を感知 失明マウスで回復確認

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 「網膜色素変性」という病気で目が見えなくなったマウスに、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜の細胞を移植することで、光を感じる視覚が回復することを、理化学研究所多細胞システム形成研究センター(神戸市中央区)のグループが初めて確認した。ヒトの失明原因にもなる病気で、2年以内に臨床研究の申請を目指すという。

 同センターの万代道子・副プロジェクトリーダーらによる成果で、10日付の米科学誌ステムセル・リポーツ電子版に発表した。

 網膜色素変性は遺伝性の病気で、網膜の視細胞が死んでいく。グループはマウスのiPS細胞から視細胞などのもととなる細胞を作製。網膜色素変性で失明したマウスに移植し、効果を検証した。

 部屋が光ると5秒後に電気ショックを与える実験を繰り返した結果、移植したマウス21匹のうち9匹は、光るとショックを避けられる隣室に逃げるようになり、光に反応していることが示された。一方、失明したマウスは逃げられずに刺激を受け続けた。

 また、移植した視細胞とマウスのもともとの網膜細胞との間で、実際に光の情報が伝達されていることも確認した。

 現段階では移植部分は網膜全体の5%未満で、視覚の回復は光が分かる程度という。万代副リーダーは「回復の度合いが高まるよう研究を続けたい」とする。(武藤邦生) 【網膜色素変性】 遺伝子の変異が原因で、目の奥で光を受け取る網膜の視細胞がだんだんとなくなっていき、視野が狭くなったり、暗がりで物が見えにくくなったりする難病。失明することもある。原因遺伝子は70以上あり、患者は3千人に1人と推定される。国内患者は少なくとも約2万9千人。遺伝子治療や人工網膜の開発が試みられているが、治療法は確立していない。

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