幡谷氏の経済活動分析 茨城の偉人を考える会、学術的に考察し出版

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「幡谷祐一の思想と行動」をまとめた「茨城の偉人を考える会」の小川哲哉教授=茨城大

茨城大教育学部の小川哲哉教授(58)らでつくるグループが、県信用組合の幡谷祐一会長(93)の経営や社会貢献活動の足跡をまとめた「幡谷祐一の思想と行動」を出版した。同書では、幡谷氏の思想と行動の特徴を「経済と倫理を絡ませながら、公益性を追求する独自な経済活動」と分析。小川教授は「渋沢栄一や松下幸之助にも通じる生き方を、学術的な見地から考察できた」と話している。

小川教授を代表とする「茨城の偉人を考える会」がまとめた。同会は、幡谷氏が県内の高校で道徳講演活動を始めた2014年に発足。元県教育庁関係者や高校教諭を中心に、不定期に会合を開きながら、道徳講演活動の教育的意味を考察してきた。

同書は第1部「古典への探究」で、幡谷氏の商業倫理観が、中国古典の儒教をベースに展開していることを明らかにし、道徳経済合一説を掲げ近代日本経済の基礎を築いた渋沢栄一や、「素直十段になろう」という明言を残した松下幸之助との親近性に触れた。

第2部「進歩への挑戦」で自動車産業との出合いや、筑波大大学院で研究した廃食用油のディーゼル燃料化のプロジェクトを紹介。第3部「社会貢献への努力」で道徳教育実践活動の意義を評価している。

執筆のきっかけについて、小川教授は「幡谷氏が県内高校で行った講演活動が好評で、県教育委員会編集のテキストに掲載が決定したほどだった」と語った上、「テキストでは紹介しきれない業績を調べ、学習をする生徒たちの参考文献にしようと著作にまとめることにした」と振り返る。同会は今後、郷土の偉人を題材にした教材づくりを進める方針だ。

「幡谷祐一の思想と行動」は茨城県教科書販売発行、日本経済新聞出版社日経事業出版センター発売、185ページ、2315円(税別)。 (武藤秀明)

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