未公開区画で見学会 横浜の帆船日本丸

 昭和初期に建造され、横浜・みなとみらい21(MM21)地区で展示・公開されている帆船日本丸で15日、機関室や操舵(そうだ)機室など未公開区画の見学会が開かれた。飯田敏夫・第38代船長がガイド役を担い、参加した市民ら16人は熱心に見入っていた。

 日本丸は4本のマストに29枚の帆を備えており、浮かんだ状態で保存されている国内最古の帆船。近代遺産である同船の長期保存に向けて市民らの理解を深めてもらうため、帆船日本丸記念財団(横浜市西区)が企画した。

 見学会の目玉は6気筒600馬力のエンジン2基。純国産の船舶用中型ディーゼル機関としては国内初のものという。建造された1930年当時に、開発されたばかりの無気噴油式を採用。船舶交通の多い湾内など帆走できない海域で使用し、引退した84年まで稼働していた。

 飯田船長は「エンジンはほぼ建造当時のまま残っており、保存状態も良い。船の歴史を知る上でとても貴重だ」と説明した。

 建造された昭和初期は蒸気機関からディーゼル機関への転換期に当たり、蒸気船時代の名残が随所にみられる。その一つ、蒸気で駆動する操舵機も見学した。

 一行はほかにも、いかりにつながった鎖を収納する錨鎖庫や万能工作機がある機関工作室、冷凍冷蔵庫やシャフトトンネルなど普段は公開されていない区画を2時間かけて巡った。

 戦前から残る数少ない船である日本丸に関心があって参加した横浜市金沢区の夫妻は「戦前日本の造船技術や船体の構造を実際に見て理解できる船があることは貴重。これからも大切に残してほしい」と話していた。

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