「通電火災」を防げ 大和市が東電と協定

 ◆役割分担し素早く対応 災害後の電力復旧に伴う「通電火災」に備え、神奈川県大和市は16日、送配電事業者の東京電力パワーグリッドと防災協定を結んだ。同社は市内の被災地を戸別訪問して安全確認後に電力を復旧させ、市側は消防を配備。双方の役割分担を明確にし、素早い対応につなげる。

 同社によると、同様の協定は東電管内でさいたま市に次いで2例目。大和市は人口密度が県内で2番目に高く、震災時の火災を「現実的に起こり得る最も可能性の高い被害」(大木哲市長)として、市側が連携を求めた。

 災害後に停電した家屋で通電を再開させると、倒れた電気機器や断線による引火で建物に燃え移る危険性がある。この通電火災が相次いだのが、阪神大震災後だ。神戸市によると、原因が特定できた火災のうち6割を占めた。住人が避難していると、初期消火が遅れ、延焼する場合もある。

 こうした被害に備え、同社相模原支社(伊藤正二支社長)は被災地を戸別訪問し、屋内を点検後に電力を復旧させる。大規模に被災した場合、同社と契約を結ぶ約60の電気工事店や、近隣支社に応援を求める。大和市は出火に備えて消防部隊を立ち会わせるほか、作業のための資材置き場や駐車場を東電側に提供する。

 伊藤支社長はこの日、大木市長と市役所で協定書を交わし、「快適な電力供給は使命。市とタッグを組み、安全かつ素早い復旧に努める」と話した。支社管内のほか5市とも連携を模索している。

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