「差別撤廃が基本」ヘイト対策提言受け 川崎市議会文教委員会

 川崎市議会文教委員会は19日、ヘイトスピーチ(差別扇動表現)対策として市人権施策推進協議会が行った提言の報告を市当局から受けた。委員からは「人種差別は認めない、撤廃するという基本的な考えに立って検討を」と市の積極的な取り組みを求める声が相次いだ。

 昨年12月27日に提出された提言はヘイトスピーチを目的とした公的施設の利用を制限するガイドライン策定▽インターネット対策▽人権全般にかかわる条例の検討−の3点。

 ヘイトスピーチを事前規制するガイドラインについて、市人権・男女共同参画室の担当課長は「『不当な差別的言動が行われる恐れが客観的な事実に照らして具体的に認められる場合』と、非常に限定的な要件にすれば表現の自由との調整は可能」とした協議会の結論を紹介。その上で「表現の自由との関係から慎重な対応が求められ、十分な検討が必要」と説明した市側に、委員からは「事前規制が必要な実態がある。慎重に検討しつつ前に踏み出してほしい」(共産・片柳進氏)との要望が上がった。

 条例については、市の「提言にある『条例の検討』とは、方向性として示されたものと受け止めている」との説明に対し、「提言を踏まえ広く人権を守る人権条例のような形でできないか」(公明・吉岡俊祐氏)、「市民の人権を守る措置が求められており、積極的な検討を」(民進みらい・露木明美氏)と具体的な方向性も示した意見が相次いだ。

 ネット対策については「米国をはじめ人権は世界的な問題になっている」(自民・吉沢章子氏)などと重要視する意見が出た。

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