心一つ「龍舞」練習 春節に向け横浜中華保育園児

 今月28日は、中華圏の旧正月「春節」。横浜中華街は祝賀ムードに包まれる。花を添えるのが、横浜中華保育園(横浜市中区山下町)の園児たち。今年も、横浜中華街発展会協同組合主催の賀詞交換会で、中国の伝統芸能「龍舞」を披露する予定だ。当日に向け、子どもたちの練習にも熱が入っている。

 指導にあたるのは、横浜中華学院(同)で伝統文化を担当する謝賢栄さん。華僑2世で、幼少の頃から中国獅子舞に親しんだ。大学4年生だった1990年、世界大会に出場。これを機に、次世代育成への思いを強くした。「それまではうまくなりたい一心だったが、先人たちへの感謝の気持ちが芽生えた。今度はこれを後輩に伝えたい、と」。現在は、同学院校友会などの獅子舞指導も手掛ける。

 同保育園では、3歳児と5歳児クラスが龍舞、4歳児クラスが獅子舞に取り組む。獅子舞は98年、龍舞は2004年から続く恒例行事だ。現在の5歳児20人は、中国にルーツを持つ子どもだけでなく、日本、オーストラリア、フィリピンと、国籍はさまざま。春節賀詞交換会と卒園式での発表が、保育園生活の集大成となる。

 今年初めての練習となった今月12日。日本語と中国語で新年のあいさつをした後、子どもたちは太鼓やドラの音に合わせ、ピンクやオレンジ色の龍を支える棒を持ち、上下に動かしたり走ったり。皆、表情は真剣そのものだ。「きょうは初めての技にも挑戦したけど、よくできました。80点!」。謝さんが言うと、歓声が上がった。

 謝さんは力を込める。「龍舞の精神は元気、勇気、思いやり、感謝。一人はみんなのために、みんなは一人のためにある。そういった精神を伝えたい。中国の子どもたちには自国の誇り、日本の子どもたちには、地域の誇りと感じてもらえたら」 残念なのは28日は土曜日にあたり、中国本土に帰省するなどの理由で、龍舞に参加できない園児が数人いること。それでも「参加できる子どもたちだけで精いっぱいの演技を披露したい」と謝さんは話している。

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