廃止一転、存続へ 天神島ビジターセンター 適正化計画で初

 横須賀市教育委員会は20日、市の施設配置適正化計画で廃止の方向性が示されていた「天神島ビジターセンター」(同市佐島3丁目)について、施設を改修した上で将来的に建て替える方針を明らかにした。市所有施設総量の17%縮減を目指す同計画で廃止対象とされた約60施設のうち、存続の動きが具体化したケースは初めて。

 同日の定例会で市教委事務局が実施計画の素案を報告。「天神島の利活用を進める上で、来園者に対する便益機能や自然教育園の価値を伝える展示・教育機能は必要」とし、建て替えに当たり施設規模の縮小に配慮するとした。

 天神島と周辺海域(約54万平方メートル)は県の名勝と天然記念物に指定。市の花ハマユウの自生地として知られ、島内を臨海自然教育園として海辺の貴重な生物などの保護に努めてきた。同センターは来訪者の窓口的な役割を担い、2015年度は2万2865人が利用した。

 鉄筋3階建て、延べ床面積約1千平方メートルの施設は1999年、県から無償譲渡された青少年宿泊研修施設を改装。築50年と老朽化しており、市が2015年1月に公表した適正化計画では超長期(52年度までの38年間)の期間で廃止する方向性を打ち出していた。

 一方、市教委は市外からの来訪者が大半を占めることなどから、集客施設としての利点を強調。素案では、施設の改修を行いながら築70年となる36年度をめどに建て替え、来館者増へ民間活力の導入なども検討するとした。

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