若者の就労支えよう 支援者ら横浜でシンポ

【時代の正体取材班=成田 洋樹】貧困や虐待、不登校など困難な境遇に苦しむ若者の就労支援について考えるシンポジウムが21日、横浜市神奈川区の県社会福祉会館で開かれた。支援者ら約60人が参加し、当事者の声に耳を澄ませて寄り添う支援の大切さを確認した。支援者有志のグループ「わかもの互立(ごりつ)(支えあい)ネットワーク」の主催。  沖縄大学名誉教授の加藤彰彦さんは困窮世帯への支援について「貧困とはお金がないことではなく、人との関係が途切れ孤立すること。安心できる人と一対一の関係を築ければ、そこが居場所になる」と訴えた。

 経済的にも家庭的にも苦しい生徒が多い県立田奈高校教諭の金沢信之さんは、「生徒たちが抱える困難を早期に発見し継続支援していくことが大事」とした上で、卒業後の進路支援について「奨学金を活用して進学しても多大な負債を抱えてしまう。専門家の協力を得て就労支援に力を入れている」と話した。

 児童養護施設出身の若者らの就労支援に取り組む企業「フェアスタート」代表の永岡鉄平さんは、「『かわいそう』ではなく、大きな可能性を持つ若者をどう伸ばしていくか、という視点が大切」と強調。里親家庭出身の若者を雇用する企業は「施設出身者らの受け入れに積極的な企業でネットワークをつくり、就労先の選択肢を増やす必要がある」と提案した。

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