段葛に見る鎌倉史 ひと味違った魅力紹介

 鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市雪ノ下)の参道「段葛(だんかづら)」に焦点を当てて鎌倉の歴史をひもといた書籍「鎌倉千年の歩み〜段葛からのオマージュ〜」を、元神奈川新聞記者の浅田勁(つよし)さん(72)が出版した。ユニークな切り口から、ひと味違った鎌倉の魅力が浮かび上がる。

 昨年の段葛再整備に合わせ、1〜3月に神奈川新聞で10回にわたって掲載した連載「段葛再生 歴史の舞台を歩く」に大幅に加筆した。「段葛を縦軸に歴史をたどる本は初めてではないか」と浅田さん。まとまった史料がないため、図書館に通った。「吾妻鏡」を丹念に読み込んで史論書「愚管抄」などと突き合わせ、こつこつと調べた。

 段葛がいつ造営されたかは定かでないが、「鶴岡八幡宮の参道整備は源頼朝の日ごろからの念願だった」として、「頼朝はまちづくりに非常に力を入れていた」と考察。段葛とともに若宮大路が「今も鎌倉の基軸になっている」と意義付けている。

 連載の書籍化を望んでいた浅田さんは、自身も利用する会員制の図書室「かまくら駅前蔵書室」(同市小町)の鈴木章夫代表に相談。市内の出版社「歴史探訪社」を紹介してもらった。表紙の絵や本文中の写真も蔵書室の会員に依頼し、連載に向けた史料集めから約1年半かけて完成させた。

 浅田さんは「鎌倉の歴史を知らない人は案外多いのではないか。知った上で段葛を歩くと、違った面白みがあるはず」と話す。平安後期から現在までの詳細な年表や、鎌倉で生まれ育ち市国際観光親善大使も務める女優鶴田真由さんへのインタビューなども収録した。

 B5判96ページで1300円(税抜き)。県内と都内を中心に主要書店で販売。問い合わせは、かまくら駅前蔵書室電話090(6145)9493。

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