見過ごされてきた障壁、認知された…ホームドア前倒しで喜び 懸念も

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 蕨市のJR京浜東北線蕨駅で盲導犬を連れた川口市のマッサージ師男性=当時(63)=が転落死した事故を受け、JR東日本は同駅を含む30駅へのホームドア設置を当初の予定より1年前倒しする方針を固めた。

 視覚障害者や関係団体は「ありがたい」「見過ごされてきた障壁が認知された」と歓迎しつつ、安全確保のため引き続き駅員や乗客による声掛けなどを要望した。

 転落事故後、盲導犬を連れて蕨駅を歩いた全日本視覚障害者協議会(東京都豊島区)の田中章治理事長(71)は「いろんな計画がある中、ホームドアの設置が前倒しされるのは一歩前進だと思う」と評価。

 整備に当たっては勘違いによる転落事故を防ぐため、「ホームの片側に既にドアがある駅を優先してほしい」とし、工事完了までの間も「駅員や警備員による声掛けや改札口への駅員配置など、視覚障害者への対応をしっかりやってほしい」と求めた。

 日本盲人会連合(東京都新宿区、竹下義樹会長)の橋井正喜常務理事(65)も「転落事故はあってはならないが、ホームドア設置の前倒しはありがたい。障害者がよく利用する施設が近所にある駅に設置してくれれば」と期待を寄せる。

 視覚障害者は「人がいっぱいいる場所だと、肩が少し当たっただけでも方向が変わってしまう」といい、ホームドア設置以降も「これまで通り声を掛けてもらって、手を貸してもらえれば」と乗客にも協力を呼び掛ける。

 白杖(はくじょう)で生活する「ロービジョン友の会アリス」(越谷市)の事務局長宮田新一さん(70)は「これまで見過ごされてきた障害者にとっての障壁が認知された」と喜ぶ一方、「ホームドアは万全ではなく、誤作動などの落とし穴もある」と設置による安全確保の過大認識を懸念する。

 宮田さんは「周囲の見守りこそが視覚障害者にとって一番の安心」と指摘。そのために駅の構内アナウンスで点字ブロックの存在を周知したり、歩きスマホをなくすなど、視覚障害者への目配りの必要性を訴えた。

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