移転へ調整会議設置 県立川崎図書館

 県が進める県立川崎図書館(川崎市川崎区富士見)のかながわサイエンスパーク(KSP、高津区)への移転について協議するため、県と市の両教育委員会が調整会議を設置することを決めた。移転に伴い市立図書館に一部移管する図書・資料の扱いや、川崎図書館と市立図書館の連携を調整。国内有数の「産業系図書館」の蔵書や特色を生かしたサービス向上を目指す。

 同日の文教委員会で市教育委員会が、桐谷次郎県教育長と渡邊直美市教育長らによる先月18日の打ち合わせの内容を説明した。

 市によると、両教育長は「川崎図書館の移転に係る調整会議設置に関する協定書」を2月に取り交わすことを確認。会議は両教育長ら県と市の幹部9人で構成する。

 打ち合わせでは、県側が2018年3月のKSP移転に伴う蔵書の保管・管理の方向性についても報告。産業支援に特化し、蔵書約43万冊のうち約30万冊をKSPに移管▽その他の13万冊の大部分を外部倉庫で保管、一部は市立図書館で活用する−などと説明。KSP・外部倉庫とも一体的に管理・活用し、閲覧・貸し出し・レファレンス(調べものの相談)に対応する。

 市立図書館に移管される図書・資料の内容や量は確定していない。

 市民の中には蔵書の分散を懸念する声もあるが、渡邊教育長は「図書館はネットワークで結ばれ、県立の蔵書も離れた図書館で受け取れる」と述べた。

 県立川崎図書館を巡っては、11年の市の富士見周辺地区整備実施計画や12年の県の緊急財政対策を経て、県が市有地の現在地からKSPへの移転を決めた。

© 株式会社神奈川新聞社