「菜の花」で集客に一花 商店街活性化に期待

 二宮町の早春を彩る風物詩・吾妻山公園「菜の花」の集客力を商店街のにぎわいにつなげる初の試み「湘南二宮菜の花アートフェスティバル」が10日、JR二宮駅周辺でスタートする。北口と南口の商店街の店舗や空きテナント17カ所が10日間限定の“ギャラリー”となり、身近な「芸術家」が手作り作品を披露・販売する。実行委員会幹事の片岡宇一郎さん(68)は「菜の花との相乗効果で町の活性化につなげたい」と期待を寄せている。

 2014年には、有識者でつくる日本創成会議から「消滅可能性都市」に名指しされ、人口減少が続く同町。商業の衰退も例外ではなく、町内の店舗数は1990年代の約半数にまで落ち込んだという。町北部の大型スーパー出店の影響を受け、駅北口商店街には、いつしか鮮魚店もなくなったとの指摘もある。

 「町の活性化のために何かをやりたい」と、2年前に商店街の有志が集まって企画を練り、鎌倉で20年ほど続くイベントを参考に準備を進めてきた。

 期間中は陶芸や和小物、アクセサリーなど県内外の36組が出展。地元の朝市などで活躍するアーティストも多く、週末にはワークショップも開催する。営業中の店や空き店舗を使うことで天候に左右されずに出展できる利点があり、所有者に快く貸し出してもらえるよう、使用料と光熱水費は出展者側が負担する。

 「衰退する店にとっては、異業種ともいえる出展者と連携できる好機。出展者側には“仮設店舗”を持つチャレンジの場になる」と実行委。将来的には二宮での本格開業につなげてほしい、という思いもある。

 町観光協会主催の催し「菜の花ウオッチング」は12日までの開催だが、菜の花観賞は桜の季節まで楽しめる。地元商店街は吾妻山の魅力を最大限アピールしたい考えで、片岡さんは「今回の開催準備を通じてすでに活気が出てきた店もある。来場者や出展者に『いい町』と感じてもらい、町全体で盛り上げるイベントにしたい」とさらなる広がりも視野に入れる。問い合わせは、同実行委事務局電話0463(71)0421。

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