〈時代の正体〉東京新聞論説副主幹に謝罪求める 識者ら「発言の資格ない」

 【時代の正体取材班=石橋 学】沖縄の米軍基地反対運動を巡り虚偽の放送を行った東京MXテレビの問題で有志の市民、識者らが9日、番組の司会を務めた東京新聞の長谷川幸洋論説副主幹に謝罪を求める会見を都内で開き、訂正・謝罪しない場合、論説副主幹から解任するよう同紙に申し入れを行った。

 長谷川氏は東京新聞が2日付朝刊で表明した「反省」に対し、6日に出演したラジオ番組で「言論の自由に対する侵害だ」と反論。「辞めるわけにはいかない」と論説副主幹を続けると主張していた。

 精神科医の香山リカさんは「デマは言論や議論ではない。それを批判するのは言論弾圧ではない。言論とは何かをジャーナリストが履き違えていることに驚く」と指摘。「言論、報道の世界で発言していくのは不適当。東京新聞は信頼回復のため、明確な対処をしてほしい」と求めた。

 立教大の西谷修教授は「権力が押しつける『オルタナ・ファクト』(もう一つの真実)を製造し、突きつける番組を(司会者として)作り、それが自分の仕事と思い、その権利があると主張する人物が要職にあってよいのか」と同紙の見識を問うた。法政大の山口二郎教授は「謝罪、反省しないなら、公的な言論空間で発言する資格はない。デマが地上波で当たり前になれば民主主義が壊れる」と警鐘を鳴らした。

 問題になっているのは、沖縄の米軍基地反対運動の反対派を「テロリスト」「雇われている」などと伝えた1月2日放送の「ニュース女子」。有志らは9日夜も都内の東京MXテレビ前で5回目となる抗議集会を開き、約150人が参加した。

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