17年の世界ニッケル需給、4万8000トンの供給不足=住友鉱山予測

住友金属鉱山がまとめた世界のニッケル需給予測によると、17年の需給バランスは4万8千トンの供給不足になる見通し。昨年は中国のステンレス鋼向け需要が堅調に推移したことから6万1千トンの供給不足となった見込みだが、17年はインドネシアにおける含ニッケル銑鉄(NPI)の増産などから不足幅は縮小すると予測した。なお、フィリピンの環境規制に伴う鉱山の減産影響とインドネシアの輸出規制緩和の影響については先行きの情勢が不透明なため、今回の予測には織り込んでいない。

17年のニッケル需給は、供給量が前年比3・8%増の208万トン、需要が同比3・1%増の212万8千トンと予測した。供給では、ニッケル価格低迷で採算の合わない鉱山の操業停止や鉱石の低品位化が進むフィリピンの鉱石生産量が減少すると見込み、中国のNPI生産も同比9・7%減の32万5千トンに減少すると予測した。一方で、インドネシアのNPIプロジェクトが着実に進展していることから全体では同比7万5千トンの増加を見込む。需要では世界のステンレス粗鋼生産量を同比2・7%増の4420万8千トン、そのうち中国の生産量を同比2%増の2313万8千トンと想定した。17年の日本のニッケル需給は、供給量が同比2・7%増の19万6400トン、需要が同比3%増の15万7600トンと予測。需給バランスは前年並みの3万8800トンの供給過剰と予測した。

フィリピンの環境規制に伴う鉱山の閉山および操業停止については、最大で前年比10万~11万トン程度の減産影響が出ると試算されるが、現状ではすべての鉱山が止まるかが不透明で、停止した鉱山の操業再開の時期や条件なども予測できない状況にある。また、3月までは雨季で生産が落ちる時期のため、実際に影響が顕在化してくるのは4月以降とみている。

インドネシアの輸出規制緩和についても「いつからどういう条件で輸出が再開されるかが読めない」状況にあるが、同社の大山正紀ニッケル営業・原料部長は「輸出量は最大で5万~6万トン程度になるとみている。ただ、同国の低品位鉱の買い手はニューカレドニアやグァテマラの鉱石の買い手と重なることが予測されるため、4万トン程度というケースも想定される」としている。

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