【Q&A】感動に傷、五輪ドーピング違反

ジャマイカの「金」剥奪

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2008年8月、北京五輪陸上男子400メートルリレーで金メダルを獲得したジャマイカチーム。左から2人目がネスタ・カーター、同3人目はウサイン・ボルト=国家体育場(共同)
2008年8月、北京五輪陸上男子400メートルリレー決勝で、(右から)ボルト、パウエルのジャマイカを追う日本の(左から)朝原宣治、高平慎士の各選手=国家体育場(共同)

 2008年北京五輪陸上男子400メートルリレーで、ジャマイカの第1走者ネスタ・カーター選手にドーピング違反があったとして、国際オリンピック委員会(IOC)が、ジャマイカの金メダルを剥奪すると発表しました。カーター選手は処分を不服としてスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴する意向です。

 Q 8年以上前の北京五輪での処分が、なぜ今ごろ決まるのですか。

 A IOCは大会の検査で採取した検体を10年間保存しています。大会時の技術では禁止薬物を発見できなかったとしても、その後に進歩した技術を使った検査方法で再検査して摘発しているのです。こうして北京五輪や12年ロンドン五輪に出場した選手の検体の再検査で発覚した違反は100件を超えました。国家ぐるみのドーピングが問題になったロシアのほか、ベラルーシやカザフスタンなど旧ソ連諸国の選手が多く、競技別では重量挙げと陸上が目立ちます。カーター選手の検体は、興奮作用のある禁止薬物のメチルヘキサンアミンに陽性反応を示しました。

 Q 北京五輪の男子リレーは日本が銅メダルを取りましたが、この順位が変わるのですか。

 A CASがIOCの処分を支持する裁定を出せば、カーター選手の成績が無効になりジャマイカの金メダルは剥奪されます。日本のメダルが銅から銀に繰り上がります。五輪はメダルの色や順位を争うものですが、不正発覚による繰り上がりは、当時の感動に傷を付けてしまいます。北京五輪陸上の日本代表監督を務めた高野進氏も「気持ちのいいものではない」と不快感を示しています。日本の順位の繰り上がりはこれまでも例があり、陸上男子で04年アテネ五輪ハンマー投げの室伏広治氏は銀メダルから金メダルに繰り上がりました。12年ロンドン五輪400メートルリレーでは2位になった米国選手の違反で5位から4位になりました。

 Q 次は東京五輪です。クリーンな大会にするためどのような対策を取るのでしょうか。

 A 国内の反ドーピング態勢を強化するため、超党派のスポーツ議員連盟では法整備も検討しています。作業部会では、膨大な検査数に対応するため検査要員の養成や、検査施設の整備が必要であることなどが指摘されています。そして何より、違反があってはならないということをアスリートが肝に銘じないといけません。

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