MM21の軌跡・展望一冊に 市OBが執筆

 横浜・みなとみらい21(MM21)地区の軌跡や今後の展望をまとめた書籍「情熱都市YMM(よこはまみなとみらい)21−まちづくりの美学と力学−」(鹿島出版会)が出版された。開発に携わった横浜市職員OBらが執筆した。執筆者の一人で、元・市政策局長の浜野四郎さん(63)=市住宅供給公社理事長=は「MMに関連する人や、まちづくりに携わる人たちに読んでもらいたい」と話している。

 主な執筆者は浜野さんと、元・副市長の金田孝之さん、市都市デザイン室長などを務めた国吉直行さん、建築設計事務所時代にMMの基本計画策定などに携わった中尾明さんの4人。ほかに7人が協力した。

 「なぜみなとみらいが話題になるのか」「基本計画の特性」「みなとみらい21とエリアマネジメント」など八つの項で構成。写真や地図を豊富に使いながら、MM21事業の着工(1983年)に至るまでの経緯や計画に込められた思い、今後の展開などを紹介。執筆者による座談会も掲載した。

 浜野さんによると、書籍化に向けた動きが本格化したのは2年前。「毎月のように顔を合わせてはMMの魅力の根源は何かといった議論を重ねた」。そしてMMのまちづくりは「公民協働」「都市デザイン」という二つのキーワードに集約されるとの結論に至った。

 自身は79年の入庁以降、担当部署に3度配属されるなどMMとの関わりは深かったが、「退職していたからこそ、客観的に見詰められた」。公民協働に関しては「良い街をつくりたいという強い思いを皆が抱いていた。行政だけでも、民間だけでも、なし得なかった」と強調する。

 浜野さんは本を通じ、まちづくりのダイナミズムが伝わると同時に、横浜をはじめ、まちづくりに携わる全国自治体職員のヒントになればと願っている。

 A5版、260ページ。2916円。大手書店で販売中。

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