「おもてなし」担うボランティア800人養成へ 東京五輪へ向け藤沢市

 2020年東京五輪へ向け、藤沢市が本格的に動きだす。江の島がセーリング競技会場となる同市は、選手や観戦客らの観光や道案内など「おもてなし」を担う都市ボランティア800人を養成する。半世紀ぶりの祭典に向けて街を盛り上げるとともに、五輪後も地域を支える「市民力」を育みたい考えだ。来夏にも募集をスタートし、年内には関連情報を掲載するウェブサイトも立ち上げて機運を高めていく。

 東京五輪では、大会ボランティアを組織委員会が、観光に特化した都市ボランティアの募集や研修、運営を藤沢市が担当する。同市が掲げるテーマは「市民参加型の五輪」と「未来へ向けたレガシー(遺産)の創出」。スポーツの祭典を誰もが楽しむことができ、五輪後もボランティア精神が街に根付くよう、市民一人一人が参加できる仕組みを目指している。

 参考にするのは、12年ロンドン五輪だ。同五輪では、大会運営と観光の2分野で市民ボランティアが活躍。観光ボランティアは「アンバサダー(観光大使)」として、空港や駅、観光地、競技会場付近で来場者の案内や情報提供を担った。

 藤沢市は、セーリング競技会場だった英国ウェイマス市を参考に、ボランティア数を想定。必要なスキルに「おもてなしの心」を掲げ、研修で作法や簡単な英会話を身に付けられるトレーニングを行うという。

 また、五輪後もボランティア活動が継続するよう、既存の市民団体の力を借りながら、参加者名簿を作成。情報を提供したり、派遣したりできるネットワーク「チーム藤沢」の体制整備も併せて行う。

 藤沢市東京オリンピック・パラリンピック開催準備室は「五輪後も一人一人が地域の福祉や防災、観光などボランティアとして活躍できる土台をつくりたい。そのためにも、市だけではなく市民の皆さんの力を借りながら、藤沢ならではの『おもてなし』を実現させたい」と話す。

 同市は17年度の五輪関連予算に約8350万円を計上。体験教室や交流会の開催などを通じ、普及啓発にも力を注いでいく。

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