川崎舞台の「シン・ゴジラ」が七冠 日本アカデミー賞で快挙

 日本映画の祭典「第40回日本アカデミー賞」の授賞式が3日、東京・品川のホテルで開かれ、川崎市の武蔵小杉が重要な舞台になり、昨年の同市の十大ニュースでも1位の話題となった「シン・ゴジラ」が最優秀作品賞に輝いた。

 「最優秀監督賞」もつかんだ樋口真嗣監督は「こんなことが待っているのか」と感激した様子で、「毎日、映画を撮りながら、眠れない日々を過ごしている映画人に言いたい。みんな頑張ろう!」と渡されたブロンズを頭上に掲げて、喜んだ。「シン・ゴジラ」は美術賞、撮影賞、照明賞、録音賞、編集賞でも最優秀賞を手にし、七冠を達成した。

 「シン・ゴジラ」は「ゴジラ」(54年)の国内シリーズで、昨年夏に12年ぶりの新作として公開された。「ヱヴァンゲリヲン」シリーズの庵野秀明が総監督・脚本を手がけた作品では、史上最大となる体長118・5メートルのゴジラをフルCGでスクリーンに描き出し、興行収入80億円を超える大ヒットとなった。

 主演した長谷川博己は「特撮作品で作品賞を取ることはなかなかないこと。(最優秀受賞は)これからの映画界をどうしていくのかということにつながるのではないかと思う」と語った。出演した石原さとみは「庵野さんの脚本が本当に面白くて、私が(演じることで)汚すのではないかと、胃が痛い毎日だった。撮影後に(演じた)カヨコは石原さんで良かったと庵野さんに言われて感激した」と声を震わせていた。

 最優秀男優賞は、小田和正が主題歌を書き下ろした「64−ロクヨン−前編」の佐藤浩市、最優秀主演女優賞は、「湯を沸かすほどの熱い愛」で、余命2カ月を宣告された末期がんの女性を演じた宮沢りえが選ばれた。◆県勢はRADWIMPSが最優秀音楽賞、話題賞 神奈川県勢は、横浜のライブハウスを拠点に活動していたロックバンド「RADWIMPS」が新海誠監督の長編アニメーション映画「君の名は。」で担当した劇中音楽が評価され、最優秀音楽賞、話題賞の作品部門を受賞した。

 ボーカルの野田洋次郎(31)は「新海監督がどこまでも情熱を走らせて、『まだこの世にないものを作るんだ』と、1年半、共に走った。『この歌詞を聴かせたいから(映像の)尺を2分延ばします』とか、いままでの映画の中で無かったようなことを取り入れていたと思う。見ていただいた方に、心から感謝します」と頭を下げた。

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