オリジナル・サウンドトラック『ラ・ラ・ランド』 行き先の見えないアメリカに贈るロマンスの夢

オリジナル・サウンドトラック『ラ・ラ・ランド』

 サウンドトラック・アルバムは映画の添え物と思われがちですが、どっこい音楽が映画のヒットの大きな要素になる場合もあります。『タイタニック』(97年)、『レ・ミゼラブル』(12年)、『アナと雪の女王』(13年)などが良い例でしょう。

 アカデミー3部門に輝いた『セッション』(14年)のデイミアン・チャゼル監督の最新作『ラ・ラ・ランド』は、今年のアカデミー賞で6部門最多受賞作品となりました。人々が疲れきっている現代社会にこそ夢と希望が必要と究極のロマンチシズムで制作したミュージカル映画です。

 名作ミュージカル映画のシーンがオマージュされた映像、ライアン・ゴズリング、エマ・ストーンの見事なパフォーマンス、何よりもハーバード時代からのパートナーであるジャスティン・ハーウィッツによる音楽はまるでミシェル・ルグラン、映画に大きな感動を与えています。トランプ氏が引き出したダーク・サイドに対峙する、愛と融和のアメリカがここにあります。

(ユニバーサル・2500円+税)=北澤孝

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