『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』 女子高生の夢と現実がクロスオーバーするロードムービー

(C)2017 ひるね姫製作委員会

 『攻殻機動隊 S.A.C.』『東のエデン』などで注目のアニメ作家・神山健治による初の劇場用オリジナル作品。舞台は、東京オリンピックが始まる直前の2020年。主人公は岡山県倉敷市に父親と2人で暮らす女子高生で、彼女が頻繁に見るようになる夢と現実がクロスオーバーしてゆき…。近未来SF、冒険ファンタジー、青春、ロードムービーなどいろんなジャンルが詰まっているところは、アニメならでは。

 影響を真っ先に感じさせるのは宮崎駿だが、女子高生とサポートする男子の組み合わせ、家族のモチーフ、現実と夢=仮想現実を行き来する展開などからは、細田守の『サマーウォーズ』が思い出される。恐らく、ポスト・スタジオジブリとして細田守を育てた企画製作の日本テレビが、さらなる後継者を作るべく神山監督に白羽の矢を立てたのだろう。

 上下の空間=重力を軸に据えた宮崎駿的な運動性と、『君の名は。』の新海誠にも通じる細やかな日常描写がうまくかみ合わず、人物の動きのアニメっぽさが強調されて違和感を覚えるものの、ことドラマツルギーの巧みさとテーマの普遍性に関しては、細田守にも迫る才気煥発(かんぱつ)さ。もっと言えば、SF的要素やその哲学性からは、細田守にちょっと押井守をブレンドした印象も持った。日本のアニメ界は、やはり才能の宝庫だ。★★★☆☆(外山真也)

監督・脚本:神山健治

声の出演:高畑充希、満島真之介、古田新太、前野朋哉、高橋英樹、江口洋介

3月18日(土)から全国公開

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