【世界から】店員がいないファストフード店

アメリカで進む無人化

左側はタブレットのオーダースクリーン。右側は商品を受け取る棚
2~3分以内で商品を受け取れる
6.95ドルの「ハマス&ファラフェル・ボウル」。ソースが2種類付いてくる

 日本では昔から、田舎に行くと野菜や花の無人店をよく見かけたもの。全国津々浦々どこにでもある自動販売機も、無人販売所といえばそうだ。アメリカでも一昔前から無人販売が生活に根付いており、スーパーやドラッグストアなどにあるセルフレジはその代表だろう。近年のITの発達とともに、シアトルでは無人コンビニ「Amazon Go」がもうすぐオープン予定で、人々の関心を集めている。そしてニューヨークでは、昨年末から今年初めにかけて、2軒の無人ファストフード店がオープンし、話題だ。

 ▽健康と環境に配慮

 無人ファストフード店は「eatsa」(イーツァ)という。同店は2015年、第1号店がサンフランシスコにオープンするやいなや「未来のレストラン」として脚光を浴び、今もにぎわっている。

 現在は西海岸と東海岸で7店舗を展開中だ。健康志向が高まる中、ここはファストフード店にして、キヌア(南米原産の雑穀)とたっぷりの野菜を使ったサラダボウルを提供し、コンポスト用の容器を利用するなど、健康と環境に配慮していることも注目されている。

 ▽自分でカスタマイズ

 人がいなくてどうやって購入できるのかという疑問が湧くだろう。

 注文の仕方はいたって簡単だ。オーダースクリーンでまずクレジットカードをスワイプし、スクリーンを見ながら、キヌアや青物、ソースの種類を選んでいく。

 食材は全部で78種類あるのでどれにしようか迷ってしまうかもしれない。選ぶのが面倒な人のために、固定メニューも8種類用意されている(それぞれにカロリーやタンパク質、糖質、脂質などの栄養素表示付き)。

 最後に「オーダー完了」をセレクトすると、2~3分で奥の棚にオーダーしたものが入れられる。自分の名前が表示された扉を2回軽くたたくと扉が開き、商品が受け取れる仕組みだ。

 ちなみに「無人店」と言えども、全く店員がいないわけではない。オーダーに手間取ったり、どれを注文するか迷っている客がいると、店員が出てきて気軽にアドバイスしてくれる。調理場を見ることはできないが、調理しているのはロボットではなく、人間だそうだ。

 ボウルの料金はすべて6.95ドル(1ドル112円計算で、約778円)。ニューヨークのサラダバーでは平均10~12ドル(約1120~1344円)ほどするので、6.95ドルはかなりお得な値段設定となっている。

 ▽味も申し分なし

 無人化によるメリットはいくつかある。まず店側のメリットとして、人件費を削減できるのは大きな要素だろう。またオーダーした内容から顧客データが取れ、マーケティングの分析にも使えるというのは容易に予想がつく。

 顧客側のメリットとしては、誰とも話したくない気分の時などに煩わされることなくさっと買えたり、ランチタイムでも長蛇の列に並ぶことなくスピーディーに買えたりするということだろう。

 実際に食べてみたが、新鮮でボリュームもたっぷり、味も申し分なかった。「味よし」「プライスよし」「スピードよし」、さらに「健康によし」「環境によし」という五拍子で、人気は今後も続いていきそうだ。

 ▽デリバリーも

 アメリカの無人化といえばもう一つ。アマゾンをはじめとするドローン配達サービスが世界で注目される中、1月にStarship(スターシップ)社が、歩道を移動するロボットを使ったデリバリーサービスをシリコンバレーとワシントンDCでも開始した。

 同社は「ドローンより安全」と胸を張っており、これらのサービスも、配送業者やメッセンジャーらに取って代わるものになるのか、地元では熱い視線を浴びている。(ニューヨーク在住ジャーナリスト、安部かすみ=共同通信特約)

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