【野球・ソフト決定】県民運動で盛り上げを(3月20日)

 平成32(2020)年東京五輪の野球・ソフトボール種目の県内開催地が福島市の県営あづま球場に決まった。紆余[うよ]曲折を経てようやくといった感がある。施設の改修・整備を急ぐとともに県内の受け入れ態勢づくりを進め、県民総ぐるみの運動として盛り上げたい。

 あづま球場を巡り、世界野球ソフトボール連盟は内野に芝を張るよう求めている。野球関係者からはロッカーや更衣室など全般的に老朽化した施設の大幅な改修を求める声も上がっている。多額の改修・整備費をどこがどう負担するかも大きな課題になる。

 しかし、県内開催によって県が重い負担を強いられるようでは本末転倒だ。「復興五輪」を掲げて東京への五輪誘致を成功させた以上、復興の象徴になるような施設にする責任が国や東京都、大会組織委員会にはあると捉え、協議を前に進めてもらいたい。

 県内での試合は限られている。復興や地域振興にどう生かすのかは受け入れ側が考えるべき課題でもある。県野球協会や県野球連盟、県ソフトボール協会は今後、下部団体を含めた連携組織をつくり、記念大会の開催などを検討するとしている。

 県民運動に高めるには、もっと全県的な広がりもほしい。県や開催市、競技団体にとどまらず県内全市町村、観光・交通関係団体などによる協議会のような枠組みをつくってみてはどうか。この場で県内隅々に五輪効果が行きわたる策を練る。各国の選手、観客、メディア関係者らに復興の様子を知ってもらう機会を提供したり、県内各地を巡って豊かな自然や食文化などに触れるツアーを企画したりすれば、福島への正しい理解につながる。福島の応援団にもなってくれるはずだ。

 県体協は東京五輪・パラリンピックに向けた県内選手の育成を目指し、28年度から32年度までの5年間で賛助金1億円を集める活動に取り組んでいる。初年度は法人・団体、個人から1400万円以上が寄せられた。五輪の県内開催を競技力向上の弾みにもしたい。

 国や東京電力は最も重要な責任を負う。県内原発の廃炉を着実に進め、現・旧避難区域の復興を目に見えるようにしてほしい。東京五輪誘致に際し、原発の汚染水問題は完全に制御されていると宣言した首相スピーチを、被災地は忘れていない。廃炉作業が立ち往生し、住民の暮らしがなお不安定なようでは、全世界への「約束違反」になると覚悟を持って取り組むよう求めたい。(五十嵐稔)

あなたにおすすめ