選手が球団に企画持ち込み!? 西武が“選手会プロデュース”にかける想い

近年、野球をはじめとするプロスポーツチームでは、開幕戦や夏季の大型シリーズに合わせて来場者全員に豪華なプレゼント企画を行うことが珍しくなくなった。各球団が観客動員増と来場者の満足度向上のため、趣向を凝らした企画を実施しているが、埼玉西武は他球団とは一線を画している。

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「選手会プロデュース」のアイテム選びやデザインの考案段階から企画に携わった西武・炭谷銀仁朗(左)と浅村栄斗(右)【写真提供:埼玉西武ライオンズ】

“選手会プロデュースグッズ”に込められた熱い想い

 近年、野球をはじめとするプロスポーツチームでは、開幕戦や夏季の大型シリーズに合わせて来場者全員に豪華なプレゼント企画を行うことが珍しくなくなった。各球団が観客動員増と来場者の満足度向上のため、趣向を凝らした企画を実施しているが、埼玉西武は他球団とは一線を画している。

 それは“選手会プロデュースグッズ”のプレゼントである。開幕日の4月4日が、シシの日ということで、“獅子開幕シリーズ”と名付けられた4月4日から9日までの5試合のうち、4日のオリックス戦、8日、9日の福岡ソフトバンク戦の計3試合で、来場者全員に対して日替わりで“選手会プロデュースグッズ”がプレゼントされる。

「選手会プロデュース」という冠の通り、選手(炭谷、浅村)が、そのグッズのプロデュースを行う。そもそものプレゼント企画の発案者は、選手会長の炭谷だという。また、ゴールデンウィーク期間中の5月5日楽天戦では、当日がこどもの日ということで、来場のこども全員にTシャツがプレゼントされるが、こちらは日付にちなんで背番号55番の秋山がプロデュースを行う。

 驚かされるのは、それぞれの企画に携わる選手の熱の入れようだ。開幕シリーズのプレゼントのうち、「フリースポンチョ(4/8)」は選手会長の炭谷が、「ビッグフリースブランケット(4/9)」は新キャプテンの浅村が、それぞれアイテム選びやデザインの考案段階から企画に携わったという。ファンに向けて何をプレゼントするかを考えた結果、スタンドのファンが暖かい環境で観戦できるようなアイテムを選択するあたりが、春先とはいえまだ寒く、ホットコーヒーが飛ぶように売れるメットライフドームを本拠地とする埼玉西武の選手らしく、心憎い。実際、ポンチョやフリースを羽織れば比較的快適に野球観戦ができるだろう。

秋山も子ども向けTシャツ作りに真剣

 また、「キッズTシャツ(5/5)」は、埼玉西武のYouTubeチャンネルで秋山と球団職員による企画会議の様子が動画で公開されているが、そこでは秋山が、「どのようなデザインのTシャツであれば子どもに着てもらえるか」、「どうすれば、着ている様子を見た周りの子どもたちに欲しいと思ってもらえるようなものが作れるか」と、頭を捻っていた。時間にしてわずか2分程度の動画だが、それだけでも、秋山がこのプロデュース企画に対して真剣に向き合っているということがひしひしと伝わってくる。

 実は、埼玉西武による選手プロデュースグッズの来場者全員プレゼントは今回が初めてではなく、2016年の開幕シリーズ3連戦に続いて、2年連続になる。昨年は開幕戦で応援用のフラッグを、2戦目、3戦目ではレジェンドブルーカラーのフリースを来場者全員にプレゼントした。この時も企画の発案者は炭谷であった。

 埼玉西武では、毎年シーズンオフに行われるファン感謝イベント「LIONS THANKS FESTA」で、参加する全選手がファンと直接触れ合うことができる機会を設けている。ある選手はドーム内で行われるサイン会に参加し、またある選手は隣接する西武第二球場で野球体験イベントに参加する。昨年のイベントで、炭谷は球場前広場のテントで、来場のファンに大鍋で作った煮込みうどんを振る舞っていた。

ロッテも“1億2600万円相当のプレゼント”で話題に

 ファン感謝イベント当日は非常に寒く、開幕シリーズでプレゼントしたフリースを着ていた来場者も多くいたが、それについて何か思うところがあったのだろうか。就任したばかりの辻新監督から2017シーズンのキャプテンに浅村が指名されると、新キャプテンに対し「ファンのために自分に何が出来るか考えて欲しい」と、2017年開幕シリーズでのプレゼント企画の協同を持ちかけた。その後、球団に申し入れをし、2年連続の開幕シリーズでの来場者全員プレゼントが決定したという。

 当たり前のことではあるが、3万人を超える来場者全員に何かをプレゼントをするとなると、それ相当のコストが必要になる。千葉ロッテが「今年の開幕戦で、グッズとして販売した場合、1枚4200円相当のフリースを3万枚(1億2600万円相当)プレゼントする」と発表して一時話題となったが、その例を踏まえると、埼玉西武が今年の開幕シリーズにかける意気込みとコストも相当なものだろう。

 選手会が「ファンのためにこういったことがやりたい」と熱意をもって球団に企画を提案することができ、それに対して球団がゴーサインを出すことができるのは、埼玉西武が、選手会と球団がともにファンと向き合い、かつ選手会と球団がコミュニケーションを取りやすい良好な関係を築いているからなのかもしれない。

(記事提供:パ・リーグ インサイト)

「パ・リーグ インサイト」編集部●文

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