【世界から】仲が良くても離婚は当たり前?

オランダの結婚事情

画像50歳から70歳代の離婚も増えているようだ(フリー画像から)

 日本人と比較すれば愛情表現が豊かで、街中のどこを見回しても相思相愛といった感じのカップルが多いオランダ。20代から50代くらいまでの男女は、法律上の婚姻制にこだわらない事実婚のカップルがほとんどである。結婚も事実婚もオランダでは同等の権利を有するためか、入籍か未入籍かにこだわる必要がないためだ。これは、一つ屋根の下で共に暮らすことに何ら変わりはないという根拠に基づいているという。

 ▽なぜ、別れるのか

 しかし、だ。仲が良いのは結構だが、相手と生涯添い遂げることが奇跡に近いことを彼らはよく心得ている節もある。相手のことが嫌になったらさっさと別れ、新しいパートナーを見つけることが、お互いにとって最善の解決策というわけだ。

 別れには、何かの理由があるはずだ。ケース・バイ・ケースなのはもちろんだが、最もよく耳にするのは、「相手にピンと来なくなったから」というものだ。

 これは、相手に対して恋愛感情が持てなくなったことを意味する。また「今の相手と10年後も一緒にいることを考えると寒気がするから」とか、「100%理想の相手をこれから探したいので、今別れておいたほうがいいと思う」、「退職後には、もっとすてきな人と出会うつもりでいるから」など、まったくもって言いたい放題である。

 ▽子どもに痛手

 ティーンエージャーならともかく、大の大人が幼稚な理由を並べ立てていとも簡単に別れてしまうのだが、誰よりも痛手を負うのは子供たちである。

 両親がさっさと別れることを、もろ手を挙げて喜ぶ子供はまずいないだろう。しかし親たちは子供を納得させるため、理屈をこねつつ、無理にでも別れを正当化することにたけており、年端のいかない子供たちは結局のところ、うまく丸め込まれてしまうのである。

 このような親たちが都合よく多用するのは、「愛し合っていない両親に育てられた子供は将来、愛を知らずに成長してしまう」という、訳の分からない定番のせりふである。

 「仮面夫婦」が育児をすると、子供は愛に飢えた大人に育ってしまうから駄目なのだ、ということなのだろう。ところが、別れた両親を持つ子どもたちに聞いてみると、「仮面夫婦だろうが、けんかばかりしていようが、両親にはやっぱり一緒でいてほしい」と涙ながらに返答する子供がほとんどなのだが…。

 ▽不倫は「変なこと」

 それでは、不倫が原因で別れるケースはないのだろうか。もちろんある。オランダ語には不倫を意味する言葉がなく、「(男女が)変なことをやっている」と表現するのだが、この変なことをいったん行ってしまうと、元のさやに収まることはほぼ皆無なので、不倫と別れはセットになっている。

 その上、不倫をして後ろめたい、などとはこれっぽっちも感じない人がほとんどなのも始末が悪い。自分を不倫に走らせたのは相手のせいだ!と大胆に開き直り、理由を問われればありとあらゆるうそ八百を並べ立て不倫を正当化しようと努力することは言うまでもない。

 ▽個人主義の神髄

 オランダで暮らして20年になる筆者は、オランダ人の老若男女の付き合いから別れまで悲喜こもごもの場面に遭遇してきた。しかし、彼らは何ごとも自分にとって都合が良いよう物事を運ぶ傾向が強く、これぞまさしく、個人主義の神髄と納得せざるを得ない。

 男女が別れる場合、どこか後ろ髪を引かれるような思いをお互いが抱くであろう日本人には、まったくもって理解できない独特な恋愛・別離感を持ち合わせていると言えるのではないだろうか。(オランダ在住ジャーナリスト、或武 海=共同通信特約)

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