小児がん患者を長期フォロー 神奈川県立こども医療センター、外来開設へ

 県立こども医療センター(横浜市南区)は4月、退院した小児がん患者の長期フォローアップ外来を開設する。全国の拠点病院で同様の動きがみられるなか、県内では初めて。治療後の後遺症や合併症への不安、ライフイベントの悩みなどの相談に応じ、支援する。医療技術の進歩に伴って生存率が上がり、同センターは「患者自身が病気のことを理解し、必要な医療を受けられるようにしたい」と話す。

 国内の小児がん経験者は、若年成人の700〜千人に1人とされる。同センターで診断した小児がん患者の5年生存率は、急性リンパ性白血病で1970年代の34・6%が2000〜05年で84・5%、急性骨髄性白血病では3・1%から78・6%と大幅に改善している。

 フォローアップ外来は、センターでがん治療を受けた患者が対象。受診時期は第二次性徴の10歳前後、高校入学前の15歳前後、進学・就職を控えた18歳前後を想定する。

 小児がん経験者は脳血管や認知障害にかかる割合が高い。血液・再生医療科の後藤裕明医師は「早期発見や治療によって生活の質が改善されるかもしれない。放射線治療や化学療法で、健康障害を抱える人のケアにもつながる」と設立趣旨を説明する。

 今月13日、同センターで開かれた学習会には看護師らが参加。小児がん相談室の看護師は「小児がん経験者と家族にはたくさんの不安や課題がある。成長発達する患者が主体となるような支援を心掛けたい」と話し、協力を呼び掛けた。

 同センターは13年に厚生労働省から「小児がん拠点病院」の指定を受け、同年に「小児がん相談支援室」を設置。緩和ケア外来、小児がん経験者内分泌外来、外来化学療法を開始するなど、相談や外来を強化してきた。

 15年には院内に「小児がんセンター」を開設。センター長は「長期フォローアップ外来の開設で、診療、臨床研究、相談など、患者と家族を中心とした取り組みを、より効果的に進めたい」と話している。

© 株式会社神奈川新聞社