医療費控除を申請したい!用紙はどこで入手する?

医療費控除に使う書類は、「確定申告書A様式」と、「医療費控除の明細書」です。書類を手書きする場合の用紙のダウンロード方法、確定申告書を提出する時の書き方のポイントを解説します。

医療費控除は年末調整でなく確定申告で手続きする

昨年1年間で医療費がたくさんかかった。医療費控除を受けて還付金をもらいたい。この場合、年末調整では手続きができません。確定申告が必要です。

医療費控除の申請をするには、まず書類を一通り揃えることから。勤務先ですでに配られているはずの書類のほか、自ら入手しなければいけない書類もあります。必要なものを先にすべて揃えてから実際に書き始めるとスムーズですよ。

※ここでは確定申告の義務がなく、勤務先で年末調整済みの給与所得者(サラリーマンやパート、アルバイト)を対象に2021年に行う確定申告の方法を説明します。

医療費控除の申告は2021年1月から可能です

2020年分の医療費控除の申告は2021年1月から可能です(医療費控除などの還付申告については、通常の確定申告期間である2月15日以前でも申告が可能)。税務署が混雑する前に、申告をすませると楽ですね。

医療費控除の必要書類と提出書類の変更とは? 2021年以降は、レシートの提出はできません

2021年分からは、医療費のレシートや領収書を提出することができなくなりました

医療費控除で必要な書類は以下の通りです。

・確定申告書A様式

・勤務先で配られた源泉徴収票(2019年4月以降の確定申告では、提出の必要はなくなっています)

・医療費の領収書やレシート(合計額の計算のため、提出はしない)

・医療費通知(健康保険組合等から送られた「医療費のお知らせ」等があれば転記することで簡単に明細書が書けます、ただ必須ではありません)

・交通費の領収書(タクシー代など)

・医療費控除の明細書

・マイナンバーの本人確認書類の添付台紙

2020年分までは、経過措置として、従来同様に医療費のレシートや領収書で提出することも認められていましたが、2021年分からは、医療費のレシートや領収書を提出することができなくなりました。「医療費控除の明細書」という書類に、各医療機関の合計額のみを記入すればOKとなります。

ただし、医療費の領収書は自宅で5年間保存する必要があります(税務署から求められたときは、提示又は提出します)。以下、それぞれの書類の入手方法と役割を具体的に説明します。

勤務先で配られた源泉徴収票

サラリーマンなどの給与所得者は、年末調整後の12月末から1月にかけての間に勤務先で源泉徴収票を受け取るかと思います。この源泉徴収票は確定申告には欠かせませんので、大事に保管しておきましょう。

もし紛失してしまっても、会社に(役所や税務署ではありません)再発行の依頼をすればOKです。

ちなみに、源泉徴収票は2019年4月から確定申告をする際に提出する必要はなくなりましたが、確定申告書の記入・パソコンでの入力をする際には必要なので、必ず手に入れておきましょう。

医療費の領収書やレシート(合計額の計算のため、提出はしない)

昨年1月1日から12月31日までに支払った医療費の領収書・レシートを集めておきます。自分自身の分だけでなく、生計を一にする家族の分も忘れずに。ここで集めた領収書の内容を、「医療費控除の明細書」へ転記することになっています。日付順などは関係なく、家族の名前、医療機関ごとに金額を記入すればいいということになりました。レシートは提出せずに家で5年間保管します。

健康保険組合などから送られてきた「医療費通知」があれば総額だけでOK

また、医療費控除の明細の記入ですが、健康保険組合や協会けんぽなどから送られてきた「医療費通知」があれば、添付することにより総額の記入だけでOKです。「医療費通知」は2月ごろに送られてくるところが多いですが、半年に1回などで送ってくる健康保険もあるので届いているか注意しておきましょう。

通院・入院のためにかかった交通費、電車やバスによる移動が難しいときのタクシー代なども、医療費控除の対象になります。交通費の領収書もなくさないようにとっておきましょう。

公共交通機関については、日付とかかった交通費などの履歴を残しておきます。次の医療費控除の明細書にもその金額を転記します。

医療費控除の明細書を入手するには?

前述した「医療費控除の明細書」はその名のとおり、1年間にかかった医療費の明細をまとめるためのものです。入手方法は次の4つです。

医療費控除を記入する医療費控除の明細書は2021年の申告においても使います(国税庁HPより)

・税務署へ取りに行く

・税務署から取り寄せる

・国税庁のウェブサイトからダウンロード(印刷する)

・国税庁のウェブサイトの確定申告等作成コーナーで作成する

税務署や役所に行って職員の方に「医療費控除の申請をしたいので書類をください」などと声をかければ、必要な書類のセットをくれるはずです。もし仕事の合間などに立ち寄れるようであれば、確実に入手できるでしょう。書類をもらうだけなら、どの税務署でもOKです。

もし税務署まで行けなくても、郵送で取り寄せられる場合もあります。詳しくは最寄りの税務署に問い合わせてみましょう。

パソコンでプリントアウトできる環境があれば、税務署へ足を運ぶ必要はありません。書式は以下のリンク先(いずれも国税庁ウェブサイト)からダウンロードできます。プリントアウトして手書きで作成するもよし、エクセルの集計フォームに入力して自動計算してもよし。ご自身に合った方法を選んでください。

確定申告書Aは?

確定申告書A様式イメージ(画像は国税庁ウェブサイトより)。

令和2年分の確定申告の書類は今後、国税庁HPに掲載される予定ですので確認しましょう。

医療費控除をするには、サラリーマンであれば基本的に確定申告書Aを使います。確定申告書には、自分の年収やすでに適用されている所得控除、すでに給与天引きで支払っている所得税などを源泉徴収票から転記します。

ここでのテーマである医療費控除のように、確定申告で新たに申請する所得控除については、自分で控除額を計算した上で記入します。マイナンバー(個人番号)を記入する欄が設けられているので忘れずに記入しましょう。

医療費控除の明細書と同様、入手方法は3パターンあります。また、手書きで作成する方法と、パソコンを使って作成する方法があります。

後者については、国税庁の確定申告書等作成コーナーで指示に従って入力していけば自動的に申告書が完成します。作成途中に保存し、後で作業を再開することもできるため、自由に使えるパソコンがあるならこの方法がよりおすすめです。

提出時にマイナンバーの確認が必要なので、書類を忘れずに

確定申告書にマイナンバー(個人番号)を記入する必要がありますが、あわせて、提出時に税務署の窓口に、マイナンバー確認種類を提示する、または台紙に貼り提出する必要があります。

マイナンバーの本人確認書類の添付台紙(国税庁のホームページより)。

ポイントとしては、以下のいずれかの方法でマイナンバーの提示が可能です。

1. 提出時に窓口で提示する

・マイナンバーカード

または

・マイナンバー通知カードと身元確認書類(運転免許証・パスポート・健康保険証・在留カード等)

2.提出時にコピー(写し)を添付する

・上記の本人確認書類台紙(写)添付台紙に貼って提出する

以上、医療費控除の申請に必要な書類とその入手方法についてご説明してきました。書類の作成はちょっと面倒ですが、還付金がもらえることを心の支えに、がんばって手続きを終わらせましょう!

確定申告書は、税務署に直接持参するほかに郵送でも提出が可能です。新型コロナウイルスの影響もありますし、確定申告受け付けが始まる2月から3月は税務署が混みあいますので、郵送での提出も検討しましょう。

ID・パスワード方式でスマホ等でも確定申告できるように

2019年1月から新たに確定申告のe-TaxのID・パスワード方式が利用可能となっており、2021年の確定申告でも可能となります。マイナンバーカード及びICカードリーダライタをもっていない人も、税務署で職員との対面による本人確認等に基づいて税務署長が通知した e-Tax用のID・パスワードのみで、「確定申告書等作成コーナー」からe-Taxによる送信ができるようになっています。

また、所得税確定申告手続きについて、マイナポータルを活用して、控除証明書等の必要書類のデータを一括取得し、各種申告書への自動入力が可能となるよう、簡素化がなされました。令和3年1月以降に利用できるよう準備中のようですので確認しましょう。

(文:All About 編集部)

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