「生活設計」への考え方……あなたの場合は?
ここでは、貯蓄が1000万円以上ある人と、貯蓄が少ない人のデータを比較してみました(※)。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」(2019年)の「生活設計策定の有無」から読み解きます。ぜひ、ご自分の場合と比べながらご覧ください。
「生活設計を立てている」割合に大きな差が!
「あなたは、生活設計を立てていますか」と聞かれたら、以下Aタイプ、Bタイプ、Cタイプのどの回答になるでしょうか。
「生活設計を立てている」……Aタイプ
「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」……Bタイプ
「現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」……Cタイプ
では、貯蓄0円の人、貯蓄1000万円以上の人、中間くらいの貯蓄300万~400万円の人の回答の割合を見てみましょう。
●貯蓄0円……Aタイプ22.2%、Bタイプ38.9%、Cタイプ36.4%
●貯蓄300万~400万円未満……Aタイプ36.1%、Bタイプ43.1%、Cタイプ20.1%
●貯蓄1000万円以上……Aタイプ49.0%、Bタイプ33.1%、Cタイプ17.2%
貯蓄0円の人のうち、「生活設計を立てている」というAタイプは2割ほどですが、「生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」というCタイプは4割近くもいます。
ところが、貯蓄300万~400万円未満の人では、Aタイプが4割近くに増え、Cタイプが2割ほどに減ります。
では、貯蓄1000万円以上の人はどうでしょうか。
Aタイプが約半数と、いっきに増えます。貯蓄0円の人(22.2%)に比べると、その割合は2倍! 「生活設計を立てている」ということと、貯蓄額との関係性が高いことがよくわかりますね。
「今後は生活設計を立てるつもり」というBタイプにも注目!
次に、「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」というBタイプの割合を見てみましょう。「貯蓄0円の人」は、このBタイプがおよそ4割ですが、「貯蓄1000万円以上の人」では、約3割と少なくなっています。
とはいえ、「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」というBタイプの人は要注意! 「~するつもり」と思っていても、ずるずる先のばしになって、結局着手しないままという経験はないでしょうか。
「明日からダイエットをする“つもり”」と言っていたのに、翌日も同じことを言っているパターンに似ていますよね。Bタイプの人は、少しでも早く生活設計を立て始め、ぜひAタイプを目指しましょう。
貯蓄が1000万円以上あっても、生活設計を立てることは大切
貯蓄1000万円以上の人は、他の貯蓄額の人に比べるとAタイプが多めですが、一方で、Bタイプ+Cタイプを合わせるとおよそ半数。つまり、貯蓄1000万円以上でも、半数の人が「現在は生活設計を立てていない」ことがわかります。
貯蓄が1000万円以上と多く、余裕があるので「生活設計については必要がない」と考えているのかもしれません。今はよいとしても、10年後、20年後になると状況が変わるかもしれませんので、貯蓄に余裕があるという人も、ぜひ一度生活設計を立ててみてはいかがでしょうか。
以上、「生活設計」についての考え方を、貯蓄1000万円以上の人、貯蓄300万~400万円の人、貯蓄0円の人で比較してみました。Bタイプ、Cタイプの人は、「生活設計を立ててみる」ことに少し関心がわいたかもしれません。
生活設計をざっくり立てるために、1)人生における「お金の使い時」を考え、2)「貯め時」にガッチリ貯めて「お金の使い時」に備える、という2つのステップにぜひ取り組んでみてくださいね!
※当記事の「貯蓄」とは、「金融資産」全体のことをさします。また、例えば来月のカード引き落とし代など、日常的に使うために一時的に貯めているお金ではなく、将来のために備えている貯蓄や運用のためのお金をここでは「貯蓄」とします。一部、筆者がデータを再集計して算出しています。