観光環境米軍人に聞く 横須賀市・バス循環、アンケートで検証

 約2万人とされる米海軍横須賀基地の関係者をインバウンド(訪日外国人客)ととらえ、横須賀市内観光の環境を検証するモニター企画が2016年度に行われた。市の委託事業として市観光協会が主催し、観光地5カ所を結ぶ乗り降り自由の循環バスを計4日間走行。今後、乗車した米軍関係者ら延べ560人のアンケート結果を踏まえ、外国人の市内周遊の環境整備を探る。

  循環バス「ヨコスカサークルバス」は、1月と2月の週末に実施。地産地消拠点「よこすかポートマーケット」(同市新港町)をスタートして、観音崎自然博物館(同市鴨居)、JR久里浜駅などを経由してポートマーケットに戻るコースで、午前10時から午後5時まで30分間隔で走らせた。

 バスは無料で、各バス停にボランティア通訳と案内ガイドを配置。同基地や観光協会が参加者を募り、米軍関係者を中心に市内在住の外国人が参加し、観光や駅周辺の商店街での買い物を楽しんだ。

 アンケート結果では、約8割がサークルバスを「非常に満足」「やや満足」と回答。参加理由を「無料だから」に次いで、約半数が「英語を話せるスタッフがいるから」を挙げた。

 同博物館や周辺の海岸など地元では有名な観光地でも「近くにこんな場所があるなんて知らなかった」という声も多く上がったといい、市観光協会は「どこに行けばいいかわからない、日本語ができないなどの理由で基地の外にあまり出ることがなく、横須賀のことをよく知らないのが改めてわかった」と話す。

 モニター企画に合わせ、観光施設や商店では英語の案内板の作製や和服の着付けイベントの開催など独自の取り組みを行い、参加者にも好評だったという。

 市観光協会は「事業者側も『やればできそう』という動機付けになった。訪日外国人客増加のために継続性のある方法に転化できれば」と話している。

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